キース・ハント先生来日セミナー<その2>
先日のブログではキース先生の記事を書きました。
最後に、「キース先生は仕事をしたことがない」とおっしゃったけれど、なぜか?と言うところで終わっていました。
今月はその続きです。
キース先生はご自身のしていることがとても好きで、楽しんでいるために、仕事をしたことはない、とおっしゃったのでした。
普通の人は仕事をどんなに好きでも、ああもう嫌だ、とか、疲れた、とか、仕事に行きたくない、と思うことが時々あるものですが、キース先生にはそれがなかったのです。いつも、好きなことをしていたので、心のエネルギーが高い状態が保たれていたので、免疫力がとっても強いのです。だからこそ52年間、病欠が一日もない、という驚異的なことができたのでしょう。
今月は、キースさんの身体の使い方について書きたいと思います。
毎日5日間、病院のベッドの上の患者さんにマッサージをする仕事では、身体の使い方に気を付けない腰を痛めます
衰弱しておられる方ほど身体を動かせないので、サロンのマッサージベッドでするようなレギュラーな体位にはなれません。
パジャマを脱ぐことさえできないことも多いのです。
また、病室のベッドは低いままでしなければならないときも少なくありません。
このような際、身体の使い方が正しくないとすぐに腰や肩、首がだるくなったり痛くなったりしてしまうのです。
ベッドが低い時は前かがみにならず、足を前後に大きく開き、前の膝は曲げ、後ろの膝は伸ばした状態で、背骨は出来るだけ垂直を保ちます。このポジションだと、重心も前後に動かしやすくなるため、上半身にはほとんど負荷をかけずに、エフルラージュができます。
僧帽筋の棘上部や、棘上筋、肩甲挙筋のような筋肉はそれほど大きくない筋肉です。上半身だけでマッサージしている人はこの筋肉を緊張させますが、出力パワーはさほど大きくなく、しかも、固いタッチになってしまいます。
下半身が良く使えている人では、大腿部や殿筋などの大きな筋肉が良く動いていて、身体の芯がしっかりと充実して安定しています。その結果、肩や首の筋肉は比較的リラックスしていても大きな力を出力できるのです。この状態でマッサージを行うと二つのメリットがあります。一つ目は、セラピストが疲れません。二つ目は、優しいけれど深い圧が入ります(圧を入れたければ)。また、セラピストは圧の調整幅が大きくなりますので、よりどんな相手にも対応できるようになります。
本当なら、エフルラージュやペトリサージュやニーディングを学ぶ前に、まず身体の使い方をしっかり習得出来るまで練習するのが理想なのです。
次回は、キース先生の患者さんへの向き合い方について書きます。
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