生物の進化と精油
地球上に命が誕生してからいままで、すべての生物は生き残るために進化を遂げてきました。
植物の世界では、たとえば、松は原始の頃からある植物の一つで、その精油にはほぼ、モノテルペン類の芳香成分しか含まれません。精油は他の生きものや病原体から身を守る目的も持っていますので、松が生まれたころは天敵も病原体も種類が少なく、精油成分の種類も少なくて済んだのでしょう。
これに対し、植物の中でも比較的新しい植物の一つであるバラの花の精油には様々な芳香成分が含まれています。
テルペン類、アルコール類、エステル類、フェノール類、などバラエティに富んでいます。バラが生まれた時代は、天敵も病原体も増えて、それだけ様々な種類の危険から自己を守る必要があったからでしょう。
私達人間はもっとも新しい動物の一つです。地球上の生命はシアノバクテリアから始まり、魚のような生き物、鳥類、哺乳類へと進化してきました。人間の受精卵が卵割を経て、胎児として育っていく過程で魚のように見えたり、指の間に水かきがあったり、しっぽがあったり、あたかも進化のプロセスを経て、生まれてくるときにはすっかり人間になっています。
ですので、私たちの身体の中にも、原始的な部分もあり、また進化した部分もあります。
呼吸などの根本的な生命現象を司る脳幹は頭のもっとも中心の深いところにあり、原始脳、つまり、ただ生きていることに必要な脳です。
次に脳幹の上を覆うように位置する脳は感情や自律神経を司る大脳辺縁系や視床下部などの古皮質、動物脳とも言われます。
そして、創造する力、高次元の思考能力などは大脳新皮質にあり、人間の脳でもっとも発達しています。このように脳の一番深いところから順に、発達してきていますので、精油も複雑で成分が多い種類のものほど、人間特有の複雑な心や身体の問題に対応できる力が大きいように感じます。
呼吸に関するトラブルには古代から生きている樹木、たとえば、松、ユーカリ、乳香などの比較的単純な成分の樹木の精油が有用であるのを見ても確かにその通りですし、バラやラベンダーなどは人間に特有の新皮質の脳が持つ、将来の不安や悩み、後悔、心の葛藤などに対して対応が可能になるのです。
心身の不調に対して、このような視点から考えて精油を選ぶこともあり、ですね。
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