August 20 2021

その精油、セラピューティックグレード?

アロマテラピーと言う言葉はフランスのR.M.ガットフォセが1928年に作りだされた言葉ですが、直訳すると日本語では芳香療法となります。しかし、実際のところは、フランスでは歴史的にも『香りで癒す』、というより、芳香植物を薬として用いた殺菌消毒、強壮、治癒促進、消炎、鎮静などを目的とする治療法がアロマテラピーだったのです。ガットフォセが行った治療法もこのようなものでした。
その流れをくんで、今でもフランスでは精油は薬の材料として使われています。ここが日本と違うところです。
たとえば、日本で言えば、医師免許を持った漢方医がいるように、フランスでも植物療法の知識を持つ医師がいます。
西洋の合成薬よりは自然の薬を使いたいという患者さんがそのようなドクターにかかります。
植物療法ドクターは通常の診察通りに患者の診察をして、精油を使用した処方箋を書き、患者はそれを調剤薬局に持っていって処方をしてもらう、というのがフランスでの本来のアロマテラピーです。

日本でも90年代後半からアロマテラピーが知られるようになり、今ではその言葉を知らない若い女性はいないでしょう。しかし、その主役である精油が何なのか、わかっている人はごくわずかです。

精油は目で見てそれが何かとわかるようなものではありません。
形を持つ野菜やハーブと違って、パッと見、遮光ビンの中に入っている『香りの強い液体』ですので、しろうとにはそれが100%正真正銘の精油なのか、それとも混ぜ物が入っているのかを判断することが出来ません。完全に合成されたアロマオイルを天然の精油だと勘違いしている方もたくさんいます。

近年、香害といって、合成香料の香りで健康被害が出ているくらいですので、これを精油と信じ込んで肌につけたり、フランスの真似をして素人判断で飲んだりすることは非常にリスクが高い行為であることはもっと広く知られるべき情報です。
一般の方は全くご存じないと思いますが、このような治療用の精油と、一般消費者向けに販売されている精油、食品産業や化粧品産業での工業用香料として流通している精油とは流通ルートも流通量も価格も違います。また、精油そのものの品質も違います。医療用として処方に使用される精油は必ず、ロットごとに成分分析が行われ、その構成成分、有効成分や毒性成分の含有量、混ぜ物がされていないかも調べます。精油は内服薬や坐薬として身体の中に入りますので、それは当たり前のことと言えば当たり前ですね。

そのような厳しいチェックを受けて実際に調剤薬局で処方に使用されている精油であれば、セラピューティックグレードとかメディカルグレードと呼んでも差支えないと思いますが、世間ではそうではない精油をもセラピューティックグレードとして売っている場合があります。
精油の販売会社と利益相反になりそうなつながりのある民間の法人がお墨付きを与え、勝手にセラピューティックグレードと謳い、医師の免許もない、アロマセラピーの専門的知識も精油成分の毒性についても学んでもいない人々が、他の精油より効果が高いとか、飲むことや原液で皮膚につけることも安全です、なぜならセラピューティックグレードだから、と言って(おそらくご本人もそう思い込んでいる)販売している困った現象がこの何年かの間に、日本でも広まってしまいました。

これが、医療従事者の間でもそうなっていることを私は非常に危惧しています。
情報の真偽を見分ける力が低いと、そのようなことになってしまいます。このブログを読んでくださった皆様だけでも、ぜひ、ここは気を付けていただきたいと思います。

 

ところで、9月20日にフランスで調剤薬局に精油を卸している薬剤師であるピエール・ランベール氏に、フランスのアロマテラピー事情と、役に立つ精油情報についてオンライン講演をしていただくことになりました。フランスでは伝統的にどのような疾患に対し精油の薬が処方されて来たのか、その規模や基準についてもお話いただきます。アロマセラピストの方はもちろん、そうではないけど精油を使っている、使いたいと思っている方には必見の本当の情報が聞けるまたとないチャンスです。
アーカイブ(録画視聴)も出来ますので、ぜひ、お見逃しなく。
>>詳細はこちら

Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

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