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アロマセラピーサロンなどでは短いコースだと必ず省略されてしまうのがお腹のトリートメント

日本では一般的にマッサージと言えばコリほぐし、という認識が強いのでそうなるのでしょう。

また、一般的に言って、お腹が凝っていると感じている方はあまりおられません。本当はここに感情をしまい込んで硬くなっている方もおられるのですが、そういうわけで、お腹のマッサージの優先順位はどうしても低いのです。

ただ、お腹は動物にとって、とても無防備な場所で、動物の急所てす。ここに触れられることを心から許す、というのは本当は結構、ハードルが高いことなのです。

ですので、無意識のうちにお腹のワークをサラッと済ましてしまうか、もしくは省略してしまうということもあるでしょう。

お腹は直接的には消化、吸収をする臓器のあるところですが、チャクラで言うと第三チャクラ、そして太陽神経叢のあたりなので、その辺りのウンチクもあるかと思いますが、それはそれとして、私の経験では、悲しみや怒りの感情をなんらかの原因でしまい込んでいるところだと感じます。

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まず、怒りに関しては、もっとも強い感情は、子供の頃からの、親からの否定的な圧力があると思います。

特に、親自身が大変な努力をして、その結果、社会的に成功して自信に満ちた人間であれば、自分の子供にもそのようになってもらいたいと強く望むのは不自然なことではありません。そういう親は子供が自由に、ありのままでいることを許せないかもしれません。

自分がそのままの自分で親に受容されない、ということは辛い。

親を求める動物的な欲求が強ければ、自分を否定する親に対する怒りを発散できないかもしれません。そのような時、横隔膜が緊張したままになり、呼吸が浅くなるかもしれません。それはそのまま、エネルギーの低下を招きます。酸素が取り込めませんから、身体が低酸素状態になり、疲労が溜まります。

先日、イギリスの病院で何十年もの間、患者さんのマッサージをして来たキース・ハント氏が来日された時におっしゃっていたことが思い出されます。

彼の働く病院には拒食症の若い患者も多く入院してきます。そして彼らの親の多くは医者だそうです。わかる気がします。

拒食、食べることを否定する、それは生きようとする原始的な身体欲求の抑圧です。

親のOKだけが自己肯定をもたらすわけではないのですが、幼少期や思春期に親に認めてもらえないことで心に傷を負うと、何年たってもその傷は綺麗には無くならず、ただ見えにくくなっていくだけかもしれません。

この傷に対する一番の薬は、自分も親もも「受容」することかもしれません。

セラピストからの肯定的なタッチがそれをサポートしてくれるでしょう。

そして更に、お腹のトリートメントは生理学的に重要な2つの効果があります。

それは免疫機能と水分吸収機能の向上です。

日本リンパ学会会長で信州大学医学部特任教授の大橋俊夫先生のご説明によると、身体の中のリンパ球の60~70%が回腸から大腸の粘膜のところに待機しているのです。口から入ってきた危険な細菌はすぐその場で退治し、抗体を作ります。出来るだけ多くの細菌に適度に曝露されることで身体の免疫機能が活性化されますので、除菌ばかりしていると、免疫力か低下します。

また、食物から最後に水分を吸収するために、大腸の粘膜には沢山の血管があります。沢山の血管があるところには殆どの場合、沢山のリンパ管があります。

水分の吸収を行うため、大腸は浮腫みやすい臓器なので、リンパ管が発達しています。

大腸の蠕動運動が鈍いと水分が血管やリンパ管に吸収されにくくなる一方、浮腫むこと自体で蠕動運動が妨げられてしまうというのです。悪循環ですね。

他の組織でも同じですが、浮腫んだ組織の間質は汚れてしまい、細胞機能の低下を招きますし、免疫力も落ちます。

というわけで、お腹を優しくトリートメントすることは、副交感神経を優勢にすることと、腹部にある沢山のリンパ管の動きを刺激して水分の貯留を解消することで、腸の蠕動運動を促すのです。

正常に動く腸は間質に無駄な水分も汚れも溜まらず、免疫力も保たれるのです。

お腹のワークの重要性、高いですね!

Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

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