お腹と感情
ボディマッサージにおいて短いコースだと必ず省略されてしまうのがお腹のマッサージです。
お腹は動物にとって、とても無防備な場所で、動物の急所てす。
信頼できる相手ではないと動物も腹部を触らせません。
人間の場合、腹部に感情をしまい込んでいたりします。
「腹が立つ」「腹に据えかねる」などというフレーズもあります。
腹部は胃腸など消化、吸収をする臓器のあるところですが、悲しみや怒りの感情をなんらかの原因でしまい込んでいるところです。
たとえば月経中の女性は感情的に不安定になっていることが多く、腹部のマッサージ中に泣き出す、ということもあります。男性であっても、あまりに辛いことがあった後、腹部のマッサージ中に泣き出すことがあります。
子供の時の親からの否定的な態度や言葉によって怒りや悲しみなどの強い感情が起きます。
特に社会的に成功して自信に満ちた親は自分の子供にもそれを当然のこととして求めます。
そのような親は子供が自由にありのままでいることを許さず、子供はありのままの自分として行動すると親に受容されないと知るのです。
子供はその怒りや悲しみを表出できないまま、自分のしたいようにさせてもらえずに大人になったとき、たとえば怒りを抑えていた横隔膜が硬くなり、呼吸が浅くなるかもしれません。
それはそのまま、エネルギーの低下を招き、疲労が溜まります。
アーユルヴェーダでは感情に関連する第二チャクラ、行動に関連する第三チャクラが詰まってくるかもしれません。
イギリスの病院で何十年にわたりマッサージセラピストとして勤務し、王室から勲章を授与されたキース・ハント氏が来日された時におっしゃっていたことが思い出されます。
彼の働いていた病院には拒食症の若い患者も多く、また彼らの親の多くは医者だそうです。拒食、食べることを否定する、それは生きようとする原始的な身体欲求の抑圧です。
幼少期や思春期に親に認めてもらえないことで心に傷を負うと、何年たってもその傷は心の深いところにしまいこまれたままとなります。
この傷に対する一番の薬は自分も親も「受けいれ、許す」ことかもしれません。
それは簡単ではないですが。セラピストからの肯定的な、優しいタッチが少しずつ心を解放してくれるでしょう。
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