May 10 2024

アロマと腸活

腸は菌の巣窟

食べ物に混ざった病原体が侵入し、繁殖しやすいのが消化管です。私は昔、インドとネパールを6カ月間のバックパッカー旅行中、赤痢にかかって下痢が半月ほど続いて死にそうになった経験があります。

北インドのジャイサルメールという町に着いた頃には意識がもうろうとしてきたので、医者に来てもらい、腕に二日続けて注射してもらった抗生物質で下痢は止まらず、3日目にお尻に超大サイズの注射を打ってもらってやっと止まり、ぎりぎりのところで死を免れました。

その後も旅を続ける中で何度か下痢をする感染症にかかり、それでも懲りずにヒマラヤにトレッキングに行ったりしていました。インド旅行から戻ったときには行く前に比べて10キロ体重が落ちていました。今から30年以上昔のインドはとても不衛生なところだったのです。

ちなみに17日間のヒマラヤのトレッキング中はそもそも山中にレストランなどないわけで、村の農家が片手間にやっている宿でチャイと質素な食べ物だけで山を歩いていました。

この旅は図らずして究極のデトックス、究極のダイエットとなってしまいましたが、旅が終わったとき、私の頭の回転はそれまでの人生で経験したことがないくらい速くなっていましたし、記憶力もすごーく良くなっていました。

なぜそうなったか、はわからないのですが、後半で説明する腸脳相関ではないかなと思ったりします。ちなみに、そのころはロンドンに住んでいたのですが、ロンドンに戻って下痢もせず、砂糖と乳製品の多い普通の食べ物を食べていたら、半年ほどすると私の頭の回転は残念ながら普通にもどってしまいました。You are what you eat ということでしょう。

このように、腸は病原菌が繁殖しやすい環境のため、人体の免疫細胞の70%が腸管にあります。また、全身に600個から700個ほどあるリンパ節のうち、最大200個ほどが腸間膜にあり、何とか身体を防御しようとしているわけです。

 

腸管免疫

人間の腸に棲む細菌には悪玉菌と善玉菌、どちらでもないものなどを含めると1000種類以上が棲息しているらしいです。1000種類ってすごくないですか?
この腸内細菌が私たちの免疫機能にとても重要な役割を担っていることが解明されています。これを腸管免疫といいます。

 

免疫反応の暴走をコントロールする腸内細菌

コロナパンデミックで知られるようになったサイトカインストーム免疫反応の暴走ですが、このサイトカインストームを起こした新型コロナ患者や、がん患者、近年増えている炎症性腸疾患を発症している人では腸内細菌が分泌するある物質が共通して減少していることがわかっています。

その物質とは、善玉菌が産生する酪酸、プロピオン酸、酢酸などの短鎖脂肪酸です。これらは抗炎症作用、抗微生物作用、腸上皮細胞のエネルギー源の機能を果たしています。

 

プロバイオティクスとプレバイオティクス

この短鎖脂肪酸を増やすには善玉菌(プロバイオティクス)を含む食品を食べるだけではなく、善玉菌の餌になる食品(プレバイオティクス)を食べる必要があります。それは食物繊維やオリゴ糖などの大腸で消化しにくい難消化性炭水化物を含む食品です。

 

便秘は大敵


女性や高齢者に多い便秘も腸内細菌のバランスを崩してしまうことがわかっています。便秘の原因は色々ありますが、専門的な話になってしまうので、ここでは細かい説明は飛ばしますが、どちらにしても、おなかの筋肉を動かす運動やマッサージは改善に役立ちます。

JEAで教えている腹部のトリートメントやボッダー式リンパドレナージが排便を促す効果は経験上とても高いと感じます。

 

便秘の改善に役立つ精油

また、セルフでおなかをマッサージする時におすすめの精油もたくさんあります。

バジル、ローズマリー(ベルベノンCT)、ジュニパー、カルダモン、マジョラム、レモンバーム、フェンネル、ジンジャー、ブラックペッパーなどが腸を刺激する精油です。

これを植物油に希釈してマッサージに使用する方法以外にも、カルダモンやジンジャーはチャイにも入っていますし、フェンネルやレモンバームもハーブティとしてよく飲まれるものですので、これらをハーブティとしてブレンドして飲むことも効果的でしょう。

これ以外に便秘によい精油があります。それは心に働きかけ、リラックス作用の高い精油たちです。

腸は第二の脳

なんと腸は脳と約2000本の神経線維でつながっているとのことで、腸の不調は脳に影響を及ぼしますし、精神的ストレスは腸の機能に影響するのです。 これを腸脳相関と言います。学校に行くのが嫌だと思っている子供が腹痛を起こし、お休みしていいことになったらケロッと治ってしまう、ということもその一つの例かもしれませんね。過敏性腸症候群もストレスが関係していますね。ちなみに過敏性腸症候群にはペパーミントが有効であることは研究で示されています。

そこで、このような精神的な原因が背後にあるような場合はストレスを和らげることが重要です。

ローマンカモミール、ベルガモット、ラベンダー、プチグレン、ゼラニウムなどは酢酸リナリルやアンゲリカ酸イソブチル、ギ酸シトロネリルなどのエステル類を多く含み、アルコール類のリナロールやゲラニオール、シトロネロールなどとともに心と身体をリラックスさせてくれます。

緊張やストレス、不安などが少しでも便秘に関与しているような時にはブレンドに加えることをおすすめします。クリームベースに混ぜてフェイスクリームとして使うのも効果的です。

 

+―――――――――――――――――――――――――――――――――+
メディカルアロマのエキスパートを目指す!アロマ国際資格「IFPA」
オンデマンドで好きな時間に学べるようになりました!
>>詳しくはこちら
+―――――――――――――――――――――――――――――――――+

Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

line
お問い合わせ グループ採用情報