雨の精油
先日、雨で湿った道路の端に溜まった土や雑草を取り除く作業をしていたら、ミミズがなん十匹も潜んでいて死にそうになりました。
ミミズは土壌を改良し、肥沃にしてくれるので、もちろん殺さずに植え込みの土の上に全部おろしてあげました。
改めて、土は何からできているのでしょうか?死んだ植物や落ち葉、昆虫や動物が分解されたもの、それらの分泌物、石や砂の細かくなったもの、多くの有用菌や病原菌などが混ざり合っていますね。
死んだら土に還る、まさにそれが生命の循環ですね。
土はわたし達人間の回帰していくところでもあるわけです。
そう考えると、昔の土葬というのはとても自然な行いですね。
ところで、これだけ様々な物質の集まりである土の中には芳香成分も多く含まれていることをご存じでしょうか?
植物は生き残るために、自分の周りに他の植物が育たないような物質を分泌しているのです。
桜の葉の香りであるクマリンは周辺の草に対して成長阻害作用があります。
秋に落葉した桜の葉にはこのクマリンが含まれるため、桜の下を歩くと桜餅の匂いがします。そして、このクマリンは地中に浸み込んで他の植物の発芽を阻止するのです。ユーカリに含まれる1,8-シネオール、松などの針葉樹に含まれるα-ピネン、 ペパーミントに含まれるメントール、ローズマリーに含まれるカンファーも同じような作用を持ちます。
土にはこのような精油成分が含まれているのです。
実際、インドではミッティ・アッター(mitti attar)という焼いた土を蒸留して作る土の精油があるのです。
インドは乾季と雨季に分かれていて、乾季は植物も人間も苦しい季節です。
そして、雨季が到来し、最初の雨粒が乾いたインドの土の上に落ちてきたときに匂ってくるあの香り、これがミッティ・アッターの香りなのです。別名をscent of rain 、「雨の匂い」とも呼ばれ、この香りは待ちに待った雨季が始まる喜びの香りなのです。
皆さんも雨が降り始めたときの匂い、わかりますよね?なんともいい香りですね。
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