月別アーカイブ:2019年5月

アロマテラピーという言葉が日本で聞かれるようになってから四半世紀が過ぎましたが、近年、精油の扱いについて、精油学にも、人間の生理学や病理学についても、毒性学についても最低限必要な知識さえ持ち合わせていない人たちが、危ない精油を危ない方法で用い始めています。
それは、一部の、倫理を欠いた企業の無責任で巧妙な商法や、嘘と真実を見分けることが難しいネット上の情報をうのみにしてしまう消費者側にも原因があります。

そんな中、先日、東京でアロマテラピー界の重鎮、ロバート・ティスランド氏による実践版 精油の安全性ガイドの講演会に参加してきました。大変参考になるものでしたので、重要な部分のみになりますが、ここで共有したいと思います。

同じ精油を同じ方法で使用しても、使用する人の年齢や体質、既往症(特に皮膚疾患)、健康状態や精神状態、使用の方法や使用濃度によっても、刺激を感じたりそうでなかったりします。
精油は天然由来ですが100倍以上に濃縮されているので、自然の状態とは違う物質に変化しています。それも含め、「天然由来=安全」ではないのです。

たとえば、病院で処方される薬、ドラッグストアに売っている薬のどれもが、投与対象者によって禁忌も異なり、適正な投与方法や投与量、他の薬との相互作用などの注意点を守って使用しなければ取り返しのつかないことになる可能性があります。
精油もこの点については薬と全く同じなのです。なぜならば、投与された精油は体内に吸収され、肝臓で解毒されるという点で薬と同じだからなのです。
その理屈を理解していないのに精油を薬のように使うことは危険ですね。

薬は、「1日何回、何錠飲んでください、何日以上飲んでも効果が表れない時は使用を中止してください。」という指示が必ずありますが、それは少なすぎれば薬理効果が発揮されない、多すぎれば有害になるからなのです。
効果が発揮され、かつ、副作用が出ない、ちょうどよい量のことを「セラピューティック・ウィンドウ」と呼びます。
それを下回る量のことを「無作用ゾーン」と呼びます。つまり、効果が出ない量になります。逆に、セラピューティック・ウィンドウより多い量になると、有害反応が現れてくる「有害作用ゾーン」と呼びます。
また、それらを分ける境界線は使用する精油や投与対象者によって異なります。
精油も、このセラピューティック・ウィンドウの領域で使用しなければなりません。
また、精油ごとに毒性は異なり、その毒性の強弱が「危険性」の強弱となります。一方、その精油が有害反応を起こすかどうかの確率を「リスク」と言います。その確率は、

①危険性の強弱
②曝露の程度(濃度・使用量・使用頻度に依存する)
③使用する対象者や対象グループ

という3つの要素によって判断されます。
でも、正しく使用すれば精油を怖がる必要は全くありません。
それは、サンリツやソレイユ、スクールで20年以上にわたって何十万人という人たちに施術、使用してきた中で、精油による有害反応はほとんどなかったということによって証明されています。
ただ、誰に対しても、どのような使用方法をしても100%安全な精油は存在しませんし、精油アレルギーも存在するのは確かですので、コンサルテーションの際、危険信号を見逃さず、お客様のお話を聞く姿勢を持ってください。

また、誰に対しても、どのような使用方法であっても、100%安全な精油など存在しない、ということを頭の隅に置きながら精油を楽しく、効果的に、安全に使ってください。

私の夫は手が非常に乾燥する体質ですので、ハンドクリームが欠かせません。
手作りするのは面倒なので、出来合いのものを買おうと思うのですが、お値段や中に含まれるたくさんの化学物質名を見ると(私がプロデュースしたaroma’sのハンドクリームは別です)、やっぱり手作りに勝るものはないと、今でも夫用のハンドクリームも水虫予防のジェルも自分で作っています。
シアバター、蜜蝋、植物油、芳香蒸留水、精油だけのハンドクリームです。

Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

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ゴールデンウィークは久しぶりに10日間の休みをいただいて、ヒマラヤの国、ネパールにショートトレッキングに行ってきました。
ハービスプラザの3階にある「風の旅行社」の企画ツアーで、参加したのは私と夫、そして、関西から2名、千葉県から1名の5名で、ネパール人のガイド1名、サブガイド2名、ポーター3名の11名のグループです。
ビムタン
一日目は首都カトマンズからバンで西へ6時間、そのあと、ベシサハールでジープに乗り換えて未舗装のガタガタ道をダラパニ(1963m)まで6時間揺られていきました。遠くから見たら断崖絶壁にちょっとついた溝のような道もあり、そんな道の途中、私たちの道のさらに上に道を作る工事のため、ダイナマイトで岩を吹き飛ばしているところで少し足止めされました。
しばらくして大きな爆発音の後、直径2メートルくらいの岩が私たちの目の前を通って200メートルくらい下の川に落ちていくのを目にしました。すでにこの時点でスリル満点です。
30年近く昔、私と夫でこのベシサハールから、ポーターもガイドもつけずに徒歩で北に向かい、アンナプルナの北側を回ってくる17日間のトレッキングに行きましたが、そのとき通った5400メートルのトロン峠で、最近20名ほどが命を落としたとの話を聞き、私たちはあの時ラッキーだったと思いました。

 

今回は、ダラパニから毎日6時間から7時間の歩行を5日間行う、それほど危険ではない中級者向けのトレッキングで、シャクナゲの咲き乱れる5月の爽やかな山道を歩きました。ただ、標高が二日目にしてカルツェ(2700m)から一気に3710mのビムタンに向かい、その翌日にはマナスルを一望するポンカルタール湖4100mまで行くため、高山病の心配がありました。前のトレッキングから30歳近くも齢を取っているわけですから、用心して高山病予防の薬を飲み、血中酸素濃度と脈拍も毎日朝晩、ガイドの方が計測してくださり、おかげで高山病になることもなく、無事、トレッキングを楽しむことができました。ただ、高山病予防薬は、手足にしびれを感じる、頻尿になる、飲み終わってから後はいつもより浮腫む感じがあり、できればもう二度と飲みたくないと思いました。

 

美しいヒマラヤの雪山の景色が素晴らしかったのは当然でしたが、4日間ほどは電話もネットも通じない山奥で、お風呂にも入れない生活でしたが、これにより、こころのデトックスができました。皆様もぜひ、一度ネパールの雪山を見に行ってください。カトマンズではたまたま、チベタンシンギングボールの専門店を見つけ、一つ買うことができたのも良かったです。
チベタンボール

Category / その他

Author / Kazue Gill

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