今年から畑でヤマトトウキ(大和当帰)を育てています。

以前、奈良県宇陀市室生の民宿に宿泊した際、このヤマトトウキの葉を天ぷら、味噌汁の具として出してくださったのですが、これがとっても美味しくて感動したのです!
いつか自分もこれを育てたいと思っていましたが生薬なので以前は一般人は栽培したりできないと言われたことがあったので諦めていました。
ところが! 今年、同じ宇陀市松山の道の駅で苗を見つけ、なんだ、売ってる! と喜んで購入して畑に植えました。
ヤマトトウキの香りはセロリに近く、乾燥した葉を粉砕して塩と混ぜたハーブソルトも人気です。

奈良県が振興している植物で、和にも洋にも合う食材です。今年は自分で作れるので嬉しいです。
ヤマトトウキの根は漢方薬の当帰の材料として栽培されています。学名はAngelica acutilobaです。

女性の疾患や不調、つまり、血の道の問題に使用されてきました。
ミヤマトウキ Angelica sinensis var.iwatensis も昔はあったとのことですが、今は流通していないようです。
中国でトウキといえばAngelica sinensisを指すようで、こちらは唐当帰と呼ばれます。

このヤマトトウキからも精油が採れるのですが、生薬である根からの精油の抽出は許可されていないのでしょうか、ネットで調べると葉からの精油しか見あたりません。

しかも超高価!
そこで代わりになる精油はないか?ということになるのですが、あります!

ヤマトトウキと同じセリ科の植物にはアロマセラピーではアニシード、フェンネルシード、アンジェリカ(根および種子)などがありますが、これらもヤマトトウキのように血の道の不調に昔から使われてきました。
実は、アロマセラピーで用いることのあるアンジェリカの精油はヤマトトウキに最も近く、和名はセイヨウトウキで学名はAngelica archangelica です。
ヨーロッパではお菓子の飾りとして茎が砂糖漬けになったものが食品として使用されてきました。

アンジェリカは根や種子から精油が採れますが、根の精油は光毒性が強いため、使用の方法に注意が必要です。そのため、おすすめは種子からの精油です。
古い木の棚の扉を開けた時のようなほっこりする香りで、私は嫌いではありませんが、一般受けはしないかもしれません。

私自身は月経関連のトラブルがなかったので、お世話にはあまりならなかったのですが、自分の中では同じく血の道のトラブル全般に使われるシソ科のクラリセージと同じカテゴリーに入れています。
香りのノートも両方とも落ち着くミドルからベースのノートですので、チャクラとしては第一チャクラから第二チャクラに響く香りです。
利尿作用が高く、月経開始の約2週間前の黄体期に現れる身体のむくみにもおすすめです。

 

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Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

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May 28 2024

抹香とシキミ酸

日本語に「抹香臭い(まっこうくさい)」、というフレーズがあります。

仏教的なくさみがある、とか坊主くさい、とかいう意味だそうです。
坊主くさいって、、、、僧侶の方にはかわいそうなフレーズですが、そもそもこの抹香とは何か?

調べてみると、樒(シキミ)という植物の葉を粉にして作った線香とのこと。
樒は日本列島全域、台湾、中国に自制する固有種でした。


樒は神道で使われるお清めや魔除けの意味を持つ榊(さかき)と同様の使われ方をされていて、仏壇、時には神棚にも供えられるのみならず、香の材料にもなっていたのでした。

京都の西にある愛宕山は火伏の神として、毎年七月下旬から八月上旬にかけての「愛宕神社千日参り」の時期には多くの人が参拝に訪れます。この時に参拝すると、千日お参りしたのと同等のご利益が得られると信じられているからです。
山頂の愛宕神社では樒が榊のように使われています。
その愛宕山のふもとの宕蔭地区に樒原(しきみがはら)という、樒の名所だった場所があります。私は京都に住んでいた頃、よくそこを訪れました。越畑という隣の村のおいしいお蕎麦屋さんへ行く途中にあったからですが。
今はわざわざここを訪れる人は少なく、ひっそりとした棚田の美しいところです。

 

「愛宕山 しきみが原に 雪積り 花摘む人の 跡だにもなし」

「時雨つつ日数はふともあたご山しきみか原の色はかはらじ」

 

などの歌が詠まれていますので、昔はそれなりに名所だったのでしょう。

 

ところで、お香やお線香は現代では天然素材だけではなく、様々な人工香料が用いられているものがほとんどですが、抹香の香りを知りたいと、二オイフェチの私は樒の香りを探したところ、樒の粉だけを香料成分として用いたお線香が見つかりました。

和歌山県高野山大師堂から発売されている樒線香です。和歌山は、昔は日本で一、二を争う樒の生産地だったそうです。
他にも愛媛県東温市でも樒栽培が盛んで、ある農家さんが樒だけを香料として用いたお線香を作っておられます。

早速取り寄せて嗅いでみるとその香りはとてもさわやかで、甘みがある塗香のような香りです。塗香はお寺で写経をする前に身体に付ける粉末状の香です。
樒の実(八角によく似ている)は猛毒で、間違って食べると運が悪ければ死に至るレベルです。アニサチンという無臭の成分によるものだそうです。ただ、安芸の宮島の猿は樒の実を食べるらしいです。
香りの成分が多く含まれるのは葉や樹皮で、これを食べる人はいないので、こちらで人間の食中毒が起きることはまずないようです。
葉や樹皮にどのような成分が含まれるかというと、

 

⚫︎リナロール・・・ラベンダーやベルガモット、クラリセージ、クロモジなど多くの種類の精油に含まれ、鎮静、抗うつ、抗不安、血圧降下、鎮痛、殺菌作用などがあり、刺激も毒性も低い安全な成分です。

⚫︎1,8-シネオール・・・ユーカリやローズマリーなど多くの種類の精油に含まれ、去痰作用、抗アレルギー、殺菌、血流促進、鎮痛、抗炎症作用などがある。

⚫︎ミリスチシン・・・パセリやナツメグの精油に含まれ、抗酸化、抗炎症、肝臓保護、血管新生抑制作用があり、神経毒性がある。


⚫︎サフロール…サッサフラスやカンファーに含まれ、細胞毒性、発がん性がある。
⚫︎オイゲノール…クローブ(丁子)やタイム(オイゲノールCT)などに含まれ、抗感染、殺菌、鎮痛作用が強い
⚫︎アネソール…フェンネルやアニシードに含まれ、抗肥満、抗ストレス、エストロゲン様作用がある。

などです。樒の線香は特にこの中のオイゲノールやアネソールの香りを強く感じます。

ミリスチシン、サフロール、オイゲノール、アネソールは植物の中でシキミ酸経路という経路で生合成されます。このシキミ酸という物質は昔、科学者によって樒から発見され、のちに、多くの植物の成分がこのシキミ酸経路で合成されることが明らかにされたのです。

シキミ酸経路で合成される成分は強力な作用を持つものが多いように感じますが、それと背中合わせに毒性など、気を付けるべき特性も持ち合わせているものが多いようです。

それに対し、リナロールや1,8-シネオールなどのテルペノイド類はメバロン酸経路で合成されていて、こちらの経路で合成されたものは毒性の低い精油成分が多い傾向があると感じます。

精油の中には素晴らしい効果と背中合わせに注意すべき作用も併せ持つものがあるため、これらを主成分とする精油を使う場合、そこをしっかりと認識して使用することが必要です。

 

JEAのアロマセラピーコースではアロマ製剤の講座では塗香の作り方も学びます♪

 

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Author / Kazue Gill

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May 10 2024

アロマと腸活

腸は菌の巣窟

食べ物に混ざった病原体が侵入し、繁殖しやすいのが消化管です。私は昔、インドとネパールを6カ月間のバックパッカー旅行中、赤痢にかかって下痢が半月ほど続いて死にそうになった経験があります。

北インドのジャイサルメールという町に着いた頃には意識がもうろうとしてきたので、医者に来てもらい、腕に二日続けて注射してもらった抗生物質で下痢は止まらず、3日目にお尻に超大サイズの注射を打ってもらってやっと止まり、ぎりぎりのところで死を免れました。

その後も旅を続ける中で何度か下痢をする感染症にかかり、それでも懲りずにヒマラヤにトレッキングに行ったりしていました。インド旅行から戻ったときには行く前に比べて10キロ体重が落ちていました。今から30年以上昔のインドはとても不衛生なところだったのです。

ちなみに17日間のヒマラヤのトレッキング中はそもそも山中にレストランなどないわけで、村の農家が片手間にやっている宿でチャイと質素な食べ物だけで山を歩いていました。

この旅は図らずして究極のデトックス、究極のダイエットとなってしまいましたが、旅が終わったとき、私の頭の回転はそれまでの人生で経験したことがないくらい速くなっていましたし、記憶力もすごーく良くなっていました。

なぜそうなったか、はわからないのですが、後半で説明する腸脳相関ではないかなと思ったりします。ちなみに、そのころはロンドンに住んでいたのですが、ロンドンに戻って下痢もせず、砂糖と乳製品の多い普通の食べ物を食べていたら、半年ほどすると私の頭の回転は残念ながら普通にもどってしまいました。You are what you eat ということでしょう。

このように、腸は病原菌が繁殖しやすい環境のため、人体の免疫細胞の70%が腸管にあります。また、全身に600個から700個ほどあるリンパ節のうち、最大200個ほどが腸間膜にあり、何とか身体を防御しようとしているわけです。

 

腸管免疫

人間の腸に棲む細菌には悪玉菌と善玉菌、どちらでもないものなどを含めると1000種類以上が棲息しているらしいです。1000種類ってすごくないですか?
この腸内細菌が私たちの免疫機能にとても重要な役割を担っていることが解明されています。これを腸管免疫といいます。

 

免疫反応の暴走をコントロールする腸内細菌

コロナパンデミックで知られるようになったサイトカインストーム免疫反応の暴走ですが、このサイトカインストームを起こした新型コロナ患者や、がん患者、近年増えている炎症性腸疾患を発症している人では腸内細菌が分泌するある物質が共通して減少していることがわかっています。

その物質とは、善玉菌が産生する酪酸、プロピオン酸、酢酸などの短鎖脂肪酸です。これらは抗炎症作用、抗微生物作用、腸上皮細胞のエネルギー源の機能を果たしています。

 

プロバイオティクスとプレバイオティクス

この短鎖脂肪酸を増やすには善玉菌(プロバイオティクス)を含む食品を食べるだけではなく、善玉菌の餌になる食品(プレバイオティクス)を食べる必要があります。それは食物繊維やオリゴ糖などの大腸で消化しにくい難消化性炭水化物を含む食品です。

 

便秘は大敵


女性や高齢者に多い便秘も腸内細菌のバランスを崩してしまうことがわかっています。便秘の原因は色々ありますが、専門的な話になってしまうので、ここでは細かい説明は飛ばしますが、どちらにしても、おなかの筋肉を動かす運動やマッサージは改善に役立ちます。

JEAで教えている腹部のトリートメントやボッダー式リンパドレナージが排便を促す効果は経験上とても高いと感じます。

 

便秘の改善に役立つ精油

また、セルフでおなかをマッサージする時におすすめの精油もたくさんあります。

バジル、ローズマリー(ベルベノンCT)、ジュニパー、カルダモン、マジョラム、レモンバーム、フェンネル、ジンジャー、ブラックペッパーなどが腸を刺激する精油です。

これを植物油に希釈してマッサージに使用する方法以外にも、カルダモンやジンジャーはチャイにも入っていますし、フェンネルやレモンバームもハーブティとしてよく飲まれるものですので、これらをハーブティとしてブレンドして飲むことも効果的でしょう。

これ以外に便秘によい精油があります。それは心に働きかけ、リラックス作用の高い精油たちです。

腸は第二の脳

なんと腸は脳と約2000本の神経線維でつながっているとのことで、腸の不調は脳に影響を及ぼしますし、精神的ストレスは腸の機能に影響するのです。 これを腸脳相関と言います。学校に行くのが嫌だと思っている子供が腹痛を起こし、お休みしていいことになったらケロッと治ってしまう、ということもその一つの例かもしれませんね。過敏性腸症候群もストレスが関係していますね。ちなみに過敏性腸症候群にはペパーミントが有効であることは研究で示されています。

そこで、このような精神的な原因が背後にあるような場合はストレスを和らげることが重要です。

ローマンカモミール、ベルガモット、ラベンダー、プチグレン、ゼラニウムなどは酢酸リナリルやアンゲリカ酸イソブチル、ギ酸シトロネリルなどのエステル類を多く含み、アルコール類のリナロールやゲラニオール、シトロネロールなどとともに心と身体をリラックスさせてくれます。

緊張やストレス、不安などが少しでも便秘に関与しているような時にはブレンドに加えることをおすすめします。クリームベースに混ぜてフェイスクリームとして使うのも効果的です。

 

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Author / Kazue Gill

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October 06 2023

アロマコスメ

久々の投稿です。昨年9月から田舎に移住し、大阪で仕事をしています。
やっと涼しくなり、外出して田舎のきれいな風景を楽しむことが出来るようになりました。

10月1日はJEAにとって記念すべき日となりました。
オンデマンドアロマセラピー講座の理論授業がスタートしたのです。
27年前にアロマセラピストの養成スクールを開校してからずっと、時代のニーズに合わせてカリキュラムやテキストをアップデートしてきましたが、オンデマンドにするのを機会にすべてのカリキュラムを一から見直しました。

 

より、科学的に、よりホリスティックに、そしてより実践的であることを目指し作成しています。

 

この27年、アロマセラピストとして、また講師として自分自身も成長しました。
初めてアロマセラピーを勉強する方々の目線に立ちつつも、大事な部分に今までよりもずっと深く切り込んだテキストと動画を作っています。

 

モジュール1の作成がすでに終わって今はモジュール2に取り掛かっています。
そのあとは、レストランでいえばコース料理のメイン、JEAでもっとも価値のあるモジュール3があります。

 

それはさておき、精油や様々な基材を用いて安全なコスメや身体に使うものを作る、アロマ製剤はとっても楽しいですね。

 

新しいオンデマンド講座ではコスメ、ハウスキーピング、救急箱の三つのカテゴリーに分けて様々なアロマ製剤を作る授業があります。
アロマセラピーの楽しさはやはり、こういうことが出来るところですね。

 

私が手作りしていてとっても納得感があるのが、フェイシャルミルク的なものと歯磨き粉です。今回はフェイシャルミルク的なものをご紹介します。

忙しい自分は化粧水、クリーム、セラム、みたいな三段階のケアはどうしても無理です。
ですので、それが全部入ったトロリとしたミルクとクリームの間みたいなのを作っています。

 

題して、

 

ギルスペシャル・オールインワン・フェイシャルフォーミュラ

 

自分用なので、あまりカチコチに分量や濃度を測ったりしません。
30年以上精油を扱っていると、感覚でわかるようになります。皆さんは真似せず、精油の濃度は1%で計算してくださいね。

 

基材
●芳香蒸留水
ローズマリーやネロリの芳香蒸留水をブレンドします。若返りの水です! これがすでに素晴らし香りで、精油に匹敵するほど。もちろん、ローズも入れたりします。

 

モンサンミッシェルのジェルベース
フランスの薬剤師さんが作ってくれたフォーミュラで、これがとっても使い勝手がよく、手放せません! 油と水を混ぜたいときには乳化剤のような働きをしてくれるのです💛

 

植物油
バオバブ、カレンデュラ、アボカドなど。抗酸化=アンチエイジングです!

 

この三種類の基材があれば、被覆効果と水分補給と保湿が全部できてしまうわけです。
夏は芳香蒸留水の割合を増やすことでさっぱり、秋になったらちょっと油を増やしてしっとりするようにしています。分離しそうになったらジェルで調整します。

 

精油

サンダルウッド
インドマイソール製の老山白檀と呼ばれるホワイトサンダルウッド。これは大変希少価値が高いのですが、薬剤師さんから買っているので100%正真正銘の本物の天然サンダルウッドです。サンダルウッドは偽物が多いのですよ。

近年、皮膚の中にも嗅覚受容体が存在し、それがサンダルウッドの香り成分に反応することが発見されたのです。サンダルウッドの成分がこれに結合することで傷の治癒が促進されることが分かったのです。 歳を取ると傷の治りが遅いですからアンチエイジング!

 

乳香
聖なる精油です、お守り的に。カラカラに乾いた大地や岩の上に生えて、しかも照り付ける太陽の紫外線にも負けずに育つ乳香の木は乾燥や紫外線から身を守る物質を作り出しているわけです。それが乳香の精油です。

 

ネロリ
なんといっても私にとっての癒しの香りであり、美容効果も高い

 

ローズ
心と身体の調和、身体全体の強壮、抗酸化、シワ、アンチエイジング! 香りがとっても強いし、大変高価なのでので、一回作るときに一滴しか入れません。

 

ローマンカモミール
私にとっては心が穏やかになる癒しの精油ですし、皮膚のトラブル全般に良いので、トラブル予防でつかっています。

 

どれもとってもお高い精油ですけど、自分の顔に使うものですから妥協はしません!

小さめのクリーム容器に作ってなくなったらこまめに作るようにすると、精油の抗酸化作用が失われず、香りもフレッシュなものをいつも楽しめます。

もちろん、冷蔵庫保存です。絶対に室温では保存しないほうがいいですよ。

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Author / Kazue Gill

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アロマテラピーの資格って必要ですか?

~アロマテラピーとの出会い~

10代の頃から自律神経のバランスを崩しやすかった私はアロマテラピーに出会って人生が変わりました。
月経の始まる前になると筋緊張性頭痛を起こすことが頻繁にあり、
その度に頭痛薬を飲まなければ嘔吐するほどの辛い痛みにくるしめられていました。

 

30代の時にアロマテラピーに興味を持ち、自己流で使っていましたが、ある時、ビギナー向けのマッサージ講座に参加してみました。
その日は朝起きると、頭が重く、このままではまた鎮痛薬を使うことになりそうだなと思っていましたが、講座の中で自分でブレンドしたマッサージオイルでトリートメントしてもらったら、授業の終わる頃には頭痛はすっかり消え、8時間たっぷり寝た後のように爽やかで、元気になっていました。

 

これがきっかけとなり、本気でアロマテラピーを学ぶことになったのです。

精油が健康に役立ったことはもちろんですが、人間の心と身体について掘り下げて学ぶ事で、セラピストとしてだけではなく、人としての成長ももたらしてくれました。

 

アロマセラピーの資格とは?

アロマセラピーが日本で広まり始めてから30年ほどになりますが、今、「アロマセラピーの資格」で検索すると資格や協会、スクールの数は驚くほど多く、勉強してみたいと考えている方はどこで学ぶか、きっと迷ってしまうはずです。

 

アロマセラピーは日本では比較的新しい自然療法ですから、資格も全て民間の資格です。
国家資格になるには、まだ国内での歴史が浅すぎるのです。

 

それゆえに、統一された履修単位やシラバスもなく、たった数時間、授業に参加しただけでアロマテラピーの資格がもらえるところもあれば、その何十倍もの時間勉強し、試験に合格して初めて資格を取得できるところも、同じようなアロマテラピーの資格として宣伝されているのが現状です。

 

今、このブログを読んでくださっているあなたもきっとこのような差がある事を不思議に思っておられるかもしれません。

 

そんな方のためにたった一つだけ、資格を選ぶ時に役立つ目安があります。
そして、この目安は実は最も重要な目安なのです。

 

あなたはアロマセラピーをちょっとかじってみたいだけなのでしょうか?
それとも自分はもとより、家族や誰かを楽にしてあげたい、人に提供できるようになりたいから学ぶのでしょうか?

 

これが目安です。

 

精油は植物の中に含まれる、アルコールやテルペンといった揮発性の物質を何百倍にも濃縮した液体です。
油と言う字を使っていますが、油ではありません。

 

これを様々な心身の不調や病気の予防、健康、美容などのために使います。

 

何かが流行ると、人はより短い時間で、簡単に、安くそれを手に入れようとするのが世の常です。
それは必ずしも悪いこととは言えませんが、その結果、必要不可欠な勉強をせずに精油を人に使ってしまったとしたら、人体に害を及ぼすリスクがアロマテラピーにはあります。

 

お金をいただくかどうかにかかわらず、他者にアロマテラピーを提供する、つまり精油を使用するのであれば、そのことに責任を持つのは倫理的に当然のことです。
ですから必要なことはしっかりと学ばなければいけないのです。

 

ここまで聞いて堅苦しい話だな、難しそうだな、もういいや、やめとこ、と思ってしまわれましたか?

 

でも、経験豊かな講師の資格を持ったアロマセラピストから学べば、実際にはそれほど難しいことはありません。

 

楽しみながらマイペースで学んでいるといつのまにか、アロマセラピーの実践に必要な知識や力がついていくものなのです。近道せずきちんと学んだことは身につきます。

 

アロマテラピー発祥の地、フランスでは医師によって精油を用いた治療が行われています。
まさに、精油は薬の材料にもなりうる物質なのです。

 

ですから、人の身体と心のしくみや、病気についての知識もない人が、精油を人に使うことはリスキーなのです。

 

一人一人の健康状態やニーズに合わせ、安全で最も効果的な精油の選択や使用方法、アプローチを考える力を勉強できるスクールなのかどうか、ここがポイントとなります。

 

JEAの卒業生はアロマテラピーの実践に必要な事を学んだからこそ、サロン開業してお客様を元気にしたり、医療施設で長年アロマセラピストとして活躍することができているのです。

 

 

 

JEAの講師は全員IFPA(国際プロフェッショナルアロマセラピスト連盟)の講師だから、本物のクリニカル・アロマセラピーをお伝えできます。
IFPAが他の協会と大きく違う点は、その教育カリキュラムの水準の高さです。
認定校では、人間の心と身体の詳細な勉強と科学に基づいた精油の知識に加え、心を中心に据えたセラピストとしての関わり方を学ぶことが出来ます。

 

 

 

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Author / Kazue Gill

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October 17 2022

明日香の香り

長年あこがれていた奈良県明日香村に先月、引っ越ししました。明日香は石舞台をはじめとする多くの古墳や謎の石造物、聖徳太子の生まれた場所として有名ですが、それ以前に、貴重な日本の原風景が今も残っている場所です。

なぜ、この貴重な風景が残っているかと言うと、1980年5月に施行された、「明日香法」のおかげなのです。

1970年代、美しい自然の景観、貴重な日本の文化遺産が多い明日香が開発によって破壊される危機にありました。これに対し、盲目の漢方医御井敬三をはじめとする地元の人々が声をあげ、当時の首相、佐藤栄作に御井氏の肉声による嘆願のテープを送るなどして直訴したことが功を奏し、明日香法が制定されたことで、ギリギリのところで近代化の波に飲み込まれることなく、美しい風景が守られることになったのでした。

私は子供の時に修学旅行で明日香に来た時から、明日香は懐かしい日本の原風景としてずっと心の中にありました。こんな経験から、アロマセラピストになった後、「明日香 香り探検隊」というウォーキングツアーを2回開催するほど明日香に惹かれていました。
田舎道を歩いていると、様々な場所で花や果物、草から、畑から、色々な香りがしてくるのです。ウォーキングツアーでは気が付いた香りをすべてノートに記録し、誰が一番たくさんの香りを見つけられるかを競います。

引っ越しをした9月上旬は葛の花やオシロイバナがいい香りを放っていました。

花の傍を通るとふわっと香ってくる甘い香りは、引っ越しと仕事で疲れた心を元気付けてくれました。9月後半はキンモクセイが香り始めました。キンモクセイは二度咲きすることが珍しくないので、運が良ければ10月下旬に二回目のチャンスがやってくるかもしれません。

オシロイバナもキンモクセイも今年は一枝いただいて部屋の中に生けたので、家に帰ってからもずっと天国の香りに癒されていました。

あとは、長く伸びた夏草を農家の方が刈り取ったあとの香りもとても心を和ませます。

もうそろそろ夕暮れ時に収穫を終えて残った稲のもみ殻や落ち葉などを集めて焚火をしている香りがしてくるでしょう。朝晩、冷え込むようになると、焚火の煙はまっすぐ上昇せず、冷気に抑えられて横に流れ、黄昏の里山にたなびいていきます。
寒くなって、陽も短くなり、今年の終わりが近づきつつあると思うと、もの悲しいような気持ちと、今年もまた大した成果も進歩もないうちに終わってしまいそう!という焦りの気持ちとで、ちょっとブルーになったりもしますが、この焚火の香りと共に、黄昏の里山の風景は心の奥深くにずっと残っていくことは間違いありません。嗅覚神経から記憶の生まれる海馬、そして喜怒哀楽、情動の生まれる扁桃核へとつながることこそが、アロマセラピーの効果の重要な柱の一つなのです。

※明日香の名前の由来
明日香の地名の由来については、もっとも有名なのは安住の宿を意味する「安宿(アンスク)」という韓国語から来ているという説の他にも、インドのアショーカ王の名前を取った、または清々しい、と言う意味の言葉から来ているなど、諸説あります。
様々な技術を持った渡来人が多く住んでいた明日香には、亀石や二面石、猿石、鬼の雪隠など、何のために作られたのかがわからない、不思議な石造物が多く残されていて、古代日本の文化や出来事が何層にも重なっていて、非常に謎の多い場所でもあります。

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Author / Kazue Gill

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シトロネラと言えば、自然派の方なら天然精油の蚊除けだとすぐにピンとくることでしょう。
シトロネラはずっと昔からその目的で利用されてきた歴史があります。
イギリス人の夫も1970年代にインドやネパールなどに貧乏旅行していたころは、出発前に薬局で蚊除けのため、シトロネラを購入していました。

 

シトロネラは和名コウスイガヤというイネ科の植物です。

 

シトロネラ  Cymbopogon winterianus
シトロネラル 39.47%
ゲラニオール 23.04%
シトロネロール 10.94%

 

シトロネラ成分表↓

https://00m.in/J6A9A

 

シトロネラ精油の主成分はシトロネラルというアルデヒド類と、同じく蚊よけの作用があるゼラニウムにも含まれるゲラニオールやシトロネロールというアルコール類です。

蚊よけとしての作用が高いのがシトロネラルとゲラニオールですが、40%近く含まれることもあるシトロネラルは皮膚には刺激性が強く、同じイネ科のレモングラス同様、そのまま皮膚につけることができません。

先日、夜中、寝ている時に蚊が襲ってきて、蚊取り線香を焚くのが嫌だったので我慢していたところ、顔や腕を刺しまくられました。そこでアロマストーンにシトロネラを滴らして顔のすぐ横に置いたのですが、全く効かず、蚊は平気で顔の近くまでブーンと飛んできます。
これ以上、安眠を妨害されたくないので、仕方なく除虫菊の蚊取り線香を焚いたのですが、それでも蚊はすぐには退散せず、しばらくしてようやくいなくなってくれたのでした。

近頃の蚊は蚊取り線香にも耐性が出来ているのかと思いましたが、

翌朝、その蚊は寝室とは少し離れた洗面台のところで亡くなっていました。シトロネラや除虫菊は瞬殺する力はないものの、空間に拡散された場合はじわじわと効くのかと思いました。スプレーとして吹きかければその場でポトリと落ちるくらい効くことは今までの経験で実証済みです。
でも、夜中に電気をつけて蚊をスプレーで追いかけるというのは実用的ではありません。

また、別の日、居間にある柔らかい木製の家具(捨てるつもりの家具だったので放置していました)を食い荒らしていたキクイムシが、とうとう私のお気に入りの木製のステップ台に巣食ったと見え、二日続けて床に木の粉が落ちていたのです。

このステップ台は食事の支度をするときに、高い棚のものを取るのに重宝しているお気に入りのもので、この子だけは死守せねばと思い、例のシトロネラをステップ台に出来ているキクイムシが作ったたくさんの小さな穴に滴下し、擦り込んだところ、、、

即効! 著効! 逃げるところはないですから、キクイムシは中で全滅したと見え、翌日から木屑か全く出なくなり、お気に入りのステップ台は守られました。しかも、お部屋もいい匂いです。

ぜひ、害虫駆除にみなさんもお試しを!
ただし、原液が皮膚につかないように気を付けてくださいね。

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Author / Kazue Gill

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英国に本部を置くIFPAの初代会長である
ガブリエル・モージェイ先生の国際オンラインセミナー
『スピリットとアロマセラピー ~精油のエネルギーと東洋医学の五行説』が始まりました!
私も1回目から参加させていただいています。

モージェイ先生は私が90年代前半、ロンドンに住んでいた頃には既にアロマセラピーの専門家としてご活躍されていて、私も先生に自分のケーススタディーを採点していただき、アロマセラピストとしての道を歩み始めた経緯があります。

先生の専門は東洋医学です。 正式には中国伝統医学と呼ばれている医学のことで、近年、日本でも、セルフケアとして食養や漢方、自然療法の一つとして注目されています。アロマセラピーの中では、精油や芳香蒸留水を中国の五行陰陽説に基づいて分類してセラピーに利用します。私も先生の影響を受け、今でもJEAの精油学のテキストには、各精油について東洋医学に基づいた分類も記載しています。

たとえば、今、きれいに花を咲かせているカモミール。
JEAのテキストには『身体全体の気の流れを良くする。肝臓の熱を取る。クール&モイスト』と書いてあります。実際、ハーブ療やアロマセラピーではアトピーにカモミールがよく使われますが、アトピーの症状である皮膚の乾燥、炎症の症状にはクール&モイスト(湿&冷)の性質を持つ植物で対応することは理にかなっています。

『気』とは何か? 気はエネルギーであり、その気にも様々な種類があります。

気の中でも最も対極にあり、すべての基盤となるのは陰と陽の気です。陰は下降する、冷やす、凝縮、蓄積するような性質であり、陽は上昇する、温める、拡散する、発散するような性質です。物理学で言えば、原子を構成する粒子には、原子核の周りを飛び回っている電子(−)と原子核の中の陽子(+)があるように、この相反する性質がこの宇宙に存在するものすべてにおいて働いているのです。

JEAのテキストついては、モージェイ先生の著書である『スピリットとアロマセラピー』を参考にさせていただいているほか、今回の先生のセミナーの一回目でも紹介されていた、ピーター・ホームズ先生の1300ページに及ぶ上下巻『The Energetics of Western Herbs』も参考にさせていただいています。

面白いことに、精油に含まれる化学成分の作用と、東洋医学の視点からの作用とが一致していることがほとんどなのです。そうすると、ますます、『気』の正体を追い求め、活用したくなってくるのです

私たちの思考も『気』です。そもそも、神経伝達は電気信号で、脳波や心電図も医学では重要な指標となっています。不安になると心拍数が上がる、骨格筋が緊張するなど、心で何を感じているか、考えているかで、脳波が変わり、身体が変わるのです。

人の感情にも、動物、植物や人体などの、すべての物質にも気があるのです。気が、流れるべきところに流れ、滞ったり詰まることもなく、充分に気が満ちている状態にあれば、私たちの身体も心も健康になるように自然に出来ているのです。それが法則なのです。

JEAでは6月上旬にオーストラリア在住のヒーラーで植物療法士であるシャーロッテ・ムトロ先生に、その『気』を浄化し、良い気を身体に巡らせるメソッドについて前半後半2回のセミナーで教えていただくオンラインセミナー、『セラピスト・レディネス ~肉体・思考・感情の浄化であなたの施術が一変する~』があります。
自分自身とクライアントの今と将来をより良いものにするために、良い気を受け入れ、悪い気を手放す方法を学びます。あなたも『気』について、自然の法則について知識を深め、活用してみませんか?

『セラピスト・レディネス』 https://aromaschool.jp/course_alacarte/25093
『スピリットとアロマセラピー』 https://aromaschool.jp/course_alacarte/24995
両講座共に録画視聴での受講が可能です。

Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

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February 19 2022

春の香り

淡き光立つ 俄雨 いとし面影の沈丁花
溢るる涙の蕾から ひとつひとつ香り始める

ユーミンの「春よ来い」です。私はこの歌が好きです。まだ見ぬ春の香り、空気感をみずみずしく感じさせてくれるすばらしい歌詞ですね。
沈丁花はまだですが、そろそろ町にも春の香りが香り始めています。
水仙、蝋梅、白梅、とてもいい匂いですね。これと、沈丁花やキンモクセイ、ジャスミンなどが自分の好きな香りです。なぜ、これらの花の香りが好きなのか、それを知りたいと思い、それらに共通する香気成分があるはず、と思って調べてみますと、リナロールは水仙、キンモクセイ、沈丁花、蝋梅、ジャスミンのすべてに、比率の多少の差はありますが、共通していました。

リナロールはアルコール類に属する物質で、強力な鎮静作用、鎮痛、抗不安、血圧降下、殺菌作用などがあり、アロマテラピーで主役級の精油に共通して含まれる成分でもあります。心を穏やかに鎮めてくれる香りで、日本の精油としてはクロモジの主成分です。

シスートランスオシメンは蝋梅や水仙に含まれる香気成分で清々しいグリーンな、まだ早春とも言えないくらいの時の気候を反映するクールな香りです。
沈丁花は春、金木犀は秋の香りですが、この二つに共通する香りがβーイオノンです。面白いのは、金木犀については、その花のオレンジ色はカロテノイドという色素成分によるもので、これが酵素で分解されてβーイオノンが生成されるそうです。ですので、金木犀においては、オレンジ色が濃いほど、このβーイオノンの量も多くなり、香りが強くなるそうです。
また、ベンジルアセテートは、白梅、水仙、ジャスミン、沈丁花に共通していました。

ところで、調べているうちに、白梅の香りは抽出が難しいため、それを他の香料を使用して再現するために調香師さんが何を使っているかという記事を見つけました。一つはジャスミン、ローズ、カーネーションとトルーバルサムを調合するというものでした。
ちなみに、この4つの香料のうち、アロマテラピー発祥の地、フランスで治療用の薬として使用されるのは水蒸気蒸留法で抽出が可能なローズの精油だけです。そのほかの精油はすべて、薬品を使って抽出する方法しかないために、人体には使用しないのがフランスのメディカルアロマテラピーの伝統です。とくに、カーネーションやトルーバルサムはフレグランスの材料としては使用しますが、アロマテラピーでは使用しません。

また、ジャスミンと安息香(ベンゾイン)を同量、混合したものが白梅の香りになるらしい、という記事も目にしました。
ジャスミンも安息香も私の好きな香りです。私の自宅サロンの名前も「安息香の木」とネーミングしたくらいです。
安息香は、わたしにとっては子供の頃の昭和な駄菓子屋さんの匂いなのです。ちょっとフェイクなバニラ様の香りで、毎日のように通った駄菓子屋さん、子供の頃の楽しい気持ちがよみがえるのです。
そして、ジャスミンはインド舞踊を26年間続けているわたしにとっては、インドの香りなのです。その二つの香りはそれぞれとても強い香りで、似た感じもあるので、この二つを合わせるということはまず、考えたことがなかったのです。その二つを同量合わせると白梅の甘く、クールな春の香りになるのか??と、にわかには信じがたいものがありました。
ですので、とにかく、二つの精油のビンを一緒に嗅いでみたら、その匂いはまさに・・・・・!!
 
バナナ、でした!
 
ジャスミンのフルーティーな香りと安息香の甘い香りが出会えば、それは当然バナナしかないのです。ジャスミンと安息香のマリアージュ=バナナ。子供が好きそうですね!
これにさらにマンダリンを加えてみました。マンダリンも子供と相性が良い香りです。なんだか、とっても楽しい気分になってきました!!
 
3月9日スタートの『ホリスティック・コンサルテーションとブレンディング基礎講座』は、私が30年間のアロマセラピストとしての経験と学びを通じて、質の高いアロマセラピストに必要な要素をぎゅっと凝縮させ、昨年新しく構築した特別講座です。
トリートメントを行わず、精油そのもので人の心と身体をホリスティックにサポートするために特化したアプローチを勉強します。
綿密なコンサルテーションで心と身体の状態をより深く把握し、香りと化学成分の両方の側面から、その人にピッタリのフォーミュレーションを作る方法を学ぶ8時間(二日間)の講座です。
 
アロマテラピーの基礎知識があれば、アロマテラピーの初級者も上級者も一歩踏み込んだブレンド作りが出来るようにます。
オンラインでコンサルテーションを行い、ブレンドをフォーミュレーションして販売することを目指している方にはイチオシです。

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Author / Kazue Gill

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このところ、ベチバーの芳香蒸留水を洗顔後の化粧水として使っています。今日はこのベチバーの話をします。

私は英国に住んでいた1985~95年の間に自然療法に目覚め、アロマセラピーやヨガを習い始めました。その時、よく耳にしたのが、“グラウンディング”という言葉でした。精神状態が安定して冷静である、または地に足がついている、よって、大地のエネルギーによって充電ができている、というような意味あいで使われていました。

さて、精油はその揮発スピードによって、トップ、ミドル、ベースと分けられていますが、このベースノートの香り、つまり、重い、長持ちするベースノートの香りを持つ精油がいわゆる、グラウンディングの精油として使用されます。たとえば、不安感、不眠、自信欠如、パニック、考えることがやめられない、などの精神状態に対して効果があります。
そのベースノートの精油の一つに、イネ科のベチバーという精油があります。ベチバーが本来育つのはインドのような暑い地域ですが、近年、日本でもベチバーの栽培がおこなわれ、国産の精油も誕生しています。レモングラスのような外観をしていますが、使用されるのは葉ではなく、その根っこです。
個々の精油がどんなことに効果があるのかを考えたときに、その精油が植物のどの部分から採れたものなのか、どんな環境で育ったか、などを知ると、不思議に納得がいくのです。
ベチバーの根はたくさんの細い根で、深く、びっしりと土に張っています。ですから、グラウンディング、すなわち揺らがない、安定させる力を持つのです。また、根は植物にとっては生きるために必要な水やビタミン、ミネラルを土から吸収する機能があります。これは、栄養の吸収を行うということになりますから、私たちにとっては胃や腸のような栄養を吸収する臓器の機能を高めてくれるのです。仕事が忙しく、消耗してばかりいる人には心にも身体にも充電が必要です。
そして、ベチバーは暑い気候の中で育ちますので、暑さに強い、すなわち、冷やす作用があるのです。ですので、全身に使えば身体を冷やしますので暑さで身体が弱っている時や、関節炎などの炎症性の疾患に良く、また、たとえ冬であっても、頭を使い過ぎたときにはベチバーの香りをかいだり、顔や頭に芳香蒸留水などを塗布したりスプレーすればスーッと落ち着いて気が頭から降りてきます。私たち現代人は運動不足で首から上ばかり使っていますから常に気が頭に上がっている状態ですので、こんなときの頭痛にも良いとされます。アロマセラピーではベチバーは脳卒中後のリハビリ期間にも循環を良くするために使用されることがあります。

インドや東南アジアではベチバーの根でマットやすだれを作っています。とても涼しげな香りが心地よいばかりではなく、虫よけ効果もあります。特に、すだれは水をかけると香りが立ち、気化熱によって部屋が涼しくなるそうです。

昔、バリでベチバーの根で作られたランチョンマットを買ってきましが、長い間香りを楽しむことが出来ました。そのランチョンマットを使うたびにバリに旅行した時の楽しい気分がよみがえって、ああ、また行きたい!と思わせてくれました。香りは常に記憶を呼び覚まします。これがアロマセラピーのもっとも素敵な魅力です。

↑ベチバーの根で編まれたリンゴのオブジェ

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Author / Kazue Gill

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