January 18 2021

2021年が明けました

コロナで世の中がひっくり返ってしまった2020年。
たくさんの方がお亡くなりになり、職や収入を失い、大変つらい、悲しい経験をしました。

この経験を通して、皆様は何を考え、気付かれたでしょうか?
私はと言えば、今までは当たり前の日常が当たり前すぎて忘れていたこと、つまり、いかに、私たちが幸せだったのかに気づかされました。普通に仕事をし、友達に会ってご飯を食べたり、連休には家族や友人と一泊旅行にでも行く、そのような平凡で穏やかな毎日。お店に行けば食べるものが豊富に手に入り、安心して眠ることのできる家がある。それが当たり前ではなく、いつ、なんどき失われるかもしれない事でもあったことに気付かされたのです。

今まで、いろんな情報が目や耳に入ってくると、うらやましく思ったり、もっとこうなりたい、ああしたい、こうだったらよかったのに、などと、自分に足りないところに心が囚われていました。
でも、今の目の前の幸せをかみしめないのはもったいない、自分はなんと今、幸せなのかと心から思えるようになりました。
将来のことはわかりません。わからないことを心配して不安になるのは意味がありません。

2020年はオンライン、バーチャルでなんとかしのぐしかないと、やっているうちにその良さもわかったり、一定の価値や便利さもありましたが、やはり、実際に触れたり、味わったり、匂いをかいだりすることが人間にとっては自分の現実をあるがままに理解することや心のバランスを保つことにつながると、今まで以上に強く感じています。

赤ちゃんが何でも口に入れるのは、それが何かをしっかりと確認しようとしているから。生きものにとって、触った感覚やにおい、味は、今、ここ、を判断するにはもっとも信頼できる確かな情報なのだと思います。
皆さんはフムンクルス(ホムンクルス)をご存知ですか?このモデルは、人間の皮膚や口などの表面にある感覚神経からの情報がどれだけ大脳皮質上を占めているかを大きさで表現したものです。

フムンクルス(ホムンクルス)
これを見れば、人間の唇、舌、手に特に感覚神経が豊富にあることがわかります。触覚、嗅覚は精妙で複雑な情報を私たちに与えます。それを通じて私たちの心に与える影響や癒しは、どれだけ世の中がバーチャル、AIや機械が発達しても他で代用できるものではありません。
思考に偏りすぎないこと。つまり、頭で考えることだけに頼ってしまわないようにすることが人間にはとても重要なのです。心のバランスを失いそうになったら、触覚や香りの感覚を通じて今、ここ、に心をもどせばいいのです。

人間の心は決して物質的なものだけでは満たされないのです。慈しみと思いやりの心を持って触れられる、触れることが私たちの心に深い安堵感と一体感をもたらすことを世の中にもっと知ってもらいたいと思います。そして、2021年はさらに、嗅ぐだけのアロマセラピーが注目されていくでしょう。
2020年秋からアロマインヘーラー(ネイザルインヘーラー)をAromaShopでも販売し始めました。

アロマインヘーラー

この、インヘーラーはスティック状のもので、中の芯に精油を10~20滴ほど付けたものを嗅ぐ形です。部屋に香らせるアロマディフューザーと違い、においが部屋全体に拡散しないため、他の患者さんに迷惑をかける心配がとても少ないのです。
欧米では5、6年前から病院を中心に頻繁に使用されるようになっています。
IFPAの名誉会員であり、また、クリニカルアロマセラピストとして世界的に有名なリヤノン・ハリス氏の講演を聞いたのが3年前、スコットランドで開催されたIFPAカンファレンスでした。ハリス氏の発表では、このインヘーラーのように、セラピストがブレンドしてお渡しした精油の香りを、入院中の自分で嗅ぎたい時に嗅ぐツールが紹介されていました。
匂いを嗅ぐことは、もちろんメンタルにも働きかけますが、それだけではありません。患者の血中酸素濃度の低下、疼痛、吐き気、気道の炎症や感染、体重低下、禁断症状、嚥下困難などの緩和にも用いられているのです。
アロマインヘーラーは病院で患者さんが精油の香りを嗅ぎたい時にいつでも自分だけが嗅ぐことが出来る、「胸のポケットに入るアロマセラピスト」なのです。
病院では、患者は常に病院の管理下に置かれ、自分が主体的に何かをする機会があまりありません。
そのような中で、必要に応じて患者が香りを嗅ぐことができる自由がある、ということは、患者のエンパワーメントでもあり、重要です。このようなアロマセラピーの形に対応できるセラピストを育てるために、クリニカルアロマセラピーでありながら、ホリスティックなアプローチでパーソナルなブレンドを作るスキルを磨く新講座「ホリスティックコンサルテーション&ブレンディング講座」を2020年12月から始めています。私も製薬会社の注文で嗅ぐだけのブレンドを何種類も創作しました。2021年はいよいよ、これらのブレンドが発売になりますので、詳細決まり次第お知らせします。

Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

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今日は本社で仕事です。
大きく開け放たれた窓からは、キンモクセイの香りが爽やかな秋のそよ風と共に流れてきます。
これだけで幸福感に満たされております。

今月、21日、私の作った新しいブレンドが発売になります。
「ハイジェニックドロップ」、本当はアマビエブレンドと呼びたかったブレンドです。
切り立てのレモンスライスのようなクリーンな香りです。
ハイジェニックとは、衛生的という意味の英語で、海外で実施された研究で効果が認められた精油をそのまま合わせてみました。
余分な精油を入れるような小細工をしていない直球ブレンド。
今日、作成している次なるブレンドは、製薬会社からの依頼で、訪問看護でのマッサージに看護師さんが使用するブレンドです。
高齢者の方など、在宅の患者さんが多く抱える症状に対応する作用があって、かつ、安全、かつ、リーズナブルなお値段、というお題に答える組み合わせを考えています。

オンラインショップ(Aromashop)、スクール店頭にて販売予定です。

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Author / Kazue Gill

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コロナ渦中ですが、皆様お元気でお過ごしでしょうか?

アロマセラピストとして、人間の健康について四半世紀!?追及してきたおかげで、テレビやニュースの情報に翻弄されて一喜一憂せず、冷静に情報を仕分けし、分析し、自分なりの考え方を持ち、精神的に安定した状態を保つことが出来ています。
すべての出来事は必然である、と言われていますが、このコロナ騒動も災難には違いありませんが、私たちの進化を促す大きな課題として考えることが出来れば、「災い転じて福となす」、私たちは良い方へと変わっていくことが出来るでしょう。
私にとっては、昨年からインターネットでの授業、スクールに来られない方でも学べるアロマセラピーの形を突き詰めたかったのが、コロナで強制的にその方向にコマが進められた形となりました。

もともとのアロマセラピーは皆様ご存じのように、フランスで精油を薬として使用することから始まっており、そのころのアロマセラピーはマッサージとは関係のないものでした。
タッチの力は本当にすごい。香りと同じくらい、人間の原始の脳に強く影響し、私たちの健康とウェルネスをはぐくむ力があります。私は人にトリートメントすることが大好きですが、あえて今、香りの力に立ち戻って、その可能性を広げる新しいコースを構築しています。
それが、IFPAの新しい資格コースです。このコースは精油にフォーカスした理論オンリーのコースであり、トリートメントの授業がありません。ですので、通学での受講だけでなく、Zoomでもオンラン受講が可能ですから、日本のどこにお住まいであってもすぐに受講できるのです。

そのコースの中に、この冬から新たに設ける6時間の講座があります。コンサルテーションとブレンディングを学ぶ講座です。この講座は今までのIFPA資格対応コースを受けている方には、重要なポイントはすでに授業に含まれているので必要ありませんが、これから理論オンリーのIFPA資格取得を目指している方はもちろん、そこまでは考えていないけど、しっかりクライアントの主訴に合わせた的確な精油のブレンディングを学びたい、という方にお勧めです。
JEAのブレンドデザイナー講座の要素も含まれています。

リモートでアロマセラピストとしてクライアントにブレンドを提供したり、香りのプロデュースを仕事にするための勉強にもなるでしょう。この講座ももちろん、 Zoomでも受講できます。
香りと心のつながりは、香りと結びついた記憶にも大きく影響を受けます。ですので、一人一人の記憶も含めたパーソナライズされた香りを作る事は精油によるメンタルケアの重要な鍵となります。

とはいえ、人間は自然から命を得ています。自然と切り離されて生きていくことはできません。パソコンやスマホだけで何もかもがOKになるわけでは決してありません。
幸い、コロナの中でも、自然の中に行くことは可能です。森や草原、川のほとりを歩いて出会う香りは、精油のビンから嗅ぐ香りの代わりになることはありません。
日本の森には古代から香りを持つ薬草がいくつもあります。それを探して歩いてみる、というのも楽しいものです。
ぜひ、この秋、自然の中に出かけてみましょう。

↑ 8月17日〜31日、オンラインで開催されたIFPAウェブカンファレンスで、「懐かしい香り」の研究を発表する大場健太郎先生の東北大学の研究室です。香りを嗅いだ時の脳の活動を調べるfMRIの装置を体験している私の写真です。カンファレンスでは他に、香りを嗅ぐことで脳内セロトニン(うつ病で減少する物質)が分泌されることを確認した研究、学習障害児や自閉症の子供へのアプローチ、患者への寄り添いの重要性を示す報告など、アロマセラピーがますますエキサイティングに感じられる発表がありました。

そして、いよいよ10月4日(日)には、生体磁場と癒しの波動について、オーストラリアのヒーラーであるシャーロッテ・ムトロ氏の講座があります。地理的距離を一瞬で飛び越えるZoomと癒しの波動、共通点がありますね!

>>詳細はこちら

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Author / Kazue Gill

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「人の役に立ちたい」と考える人にとって、セラピストはとても魅力ある職業です。
特に、ストレス社会と言われる現代の日本においては、そのような癒しに対するニーズは高く、
「セラピストの力を借りて前向きな気持ちを取り戻したい、元気になりたい、辛い症状から解放されたい」と、
サロンを利用されている人達はたくさんいます。また、近年では病院や施設の中で、
辛い闘病生活をされている患者さんに対して、心の支えとしてのマッサージやアロマセラピーを行うことも多くなってきています。

セラピストを目指してスクールに入学される方々の中には、かつてセラピストに癒された、アロマセラピーで元気を取り戻したから、自分もセラピストになって、心と体の疲れた人たちを癒してあげたい!という動機をお持ちの方が多いのです。かつて私もその一人でした。

人を癒してあげたい!という強い思いは、セラピストにとって最も大切な動機です。人が元気になっている姿を見ることが本当にうれしい! そう思えることがセラピストにとっての幸せです。しかしながら、実際、それだけでは、セラピストとして仕事に就いて、日々、心身の疲れや問題を抱えたお客様のケアを出来るわけではありません。

自分がセラピストになれるかな、と考えたとき、セラピストに求められることがどのようなことなのかを、まず知る必要があります。そのうえで、ご自身がその力を付けるだけの努力と覚悟を持てるかどうか、そしてその中にもやりがいと喜びを感じることが出来るだろうか、と考えてみてはいかがでしょうか?

<お客様と一対一で向き合うことが出来る貴重なお仕事>

私たちの生活は今、人とのコミュニケーションも、買い物も、様々な社会的サービスも急速にデジタル化、機械化していますが、その結果、私たちは暖かな心のつながり、人との肌のふれあいの機会を奪われてしまっています。これによって、私たちの心は不安定になり、健康にも影響が出てきています。

生身で向き合い、五感をすべて使ってお客様に施術をさせていただける、それは今や大変貴重な体験です。わたしたちセラピストはお客様と施術ルームの中で、一対一で、短くても30分、長ければ2時間、3時間と、向き合い、お話を伺い、お身体に施術をさせていただきます。

居心地の良い、静かな施術ルームの中で、じっくりと、何の邪魔も入らず、こんなにもお客様と向き合うことができる、というのは今の、人との接触も心のつながりも希薄になっていく社会の中ではとても貴重で贅沢な働き方なのです。その分、チャレンジの多い仕事でもあります。

お客様とともに過ごす時間の中で、まず、お客様のお困りの事に対して、きちんと耳を傾けて、その根本原因や、お客様の心の状態を正しく把握することからセラピーが始まります。これが中途半端であれば、施術も中途半端になってしまいます。

ここでは「コミュニケーションスキル」が必要になります、と言ってしまうと、あたかもテクニックを身に付ければ誰でも出来る、と思いがちですが、そうではありません。
どれだけ私たちセラピストがお客様に「寄り添う」ことが出来るかどうか、お客様に「信頼」していただいて、心を開いて様々な情報をお話いただけるか、身をゆだねていただけるかどうかが最初のハードルであり、セラピーの効果を大きく左右し、お客様の満足度に影響するのです。

お客様に「寄り添う」ということが、お客様がセラピストを信頼し、心からリラックスし、施術に必要な情報を自ら提供していただくためと、お客様との心の距離を縮めるには最も重要なことなのです。

<寄り添うとは>

私達だれもが、無意識レベルであっても、誰かに自分の辛さや悩みをわかってほしい、と願っています。お客様もそれは一緒です。

お客様に寄り添うということは、お客様の目線に立ち、お客様の声を聴く、そして、お客様の傍にいる、と言うことです。セラピストが多くの場合、ここで失敗するのは、お客様の問題を自分の価値観で判断してしまうからなのです。寄り添うこと、それは「言うは易く行うは難し」です。

マイペースで物事を進めたいタイプの人はこの部分では努力が必要と言えます。主役はあくまでもお客様です。自分はお客様が元気になるためのサポート、支えとなる。自分がその立場にいることに喜びを見出すことが出来れば、セラピストは本当にお客様のお役に立ち、同時に、セラピスト自身も生き生きと仕事が続けられるのです。

<健康と美、ウェルネスを追求し続ける>

本物の美しさは健康に根差しているものです。それを手に入れたいと誰もが心の中で願っているはずです。ですからセラピストは「健康とは何か」に対して深く、広く学び、考え続けることが必要です。病気がないということが健康と言う意味ではありません。逆に、病気を持っていても、健康で、ウェルネスを得ることが可能です。ウェルネスとは、幸福な気分で心身ともに活き活きとして生きている状態です。そのウェルネスを目指すためには、生活そのものの変容も必要かもしれません。食べること、環境問題、運動、姿勢、心、すべてに興味を持ってやまない人は、自然に健康に向かっていくことでしょう。

健康についても美についても、常に新しい発見がありますから、一度学んだから、もうわかったつもりになるのではなく、柔軟さと広い視野を持ってアップデートし続けることが必要です。成長するセラピストはお客様への施術やアドバイスにも磨きがかかり、お客様にもより頼もしい健康のパートナーと思っていただけます。

<まずは自分の心と身体の健康状態を見つめる>

この世の中に心も身体も100%問題ない、という人間は一人としていないでしょう。自分は大丈夫、と思っていても、客観的に見たら課題がいくつかある、というのが人間であり、当たり前なのです。重要なことは、自分でそれに気が付いているかいないか、なのです。セラピストにはそれに気が付いていてほしいのです。

お客様の健康をサポートするはずのセラピストが、自分の心身の健康状態を客観的に把握していなければ、お客様の健康状態も正しく認識できないでしょう。

自分自身の課題と向き合い、改善の努力をする、ということが、健康の専門家である自分のセラピストとしての力となります。セラピストに課題があることは恥ではないのです。もともと課題がたくさんあって、それを克服、もしくは改善してきた経験のある人のほうが、お客様の心身のトラブルに対し、より共感的に、より的確な対応ができ、優秀なセラピストになれるのです。

<体力仕事>

セラピスト、というと、なんだか、素敵感があって、優雅なお仕事だと思う方が多いと思います。ですが、実は、毎日、何人ものお客様に施術をする。ということは、身体を使う、肉体労働なのです。

セラピストが施術を行う際、実はマッサージをする手の動かし方よりも、身体の使い方を習得するほうがもっと根本的に重要なのです。すでにセラピストとして働いている人の中にも、それがうまくできていない方は多いのです。

まだ20代であれば、それほど問題には感じられないのですが、30代、40代、50代と、齢を重ねていくと、基礎的な体力や身体の柔軟性などが低下していくため、疲れて続かない、手や腰が痛くなる、など問題として表面化してきて、施術を続けることが難しくなることもあります。

一流のスポーツ選手やダンサーも、まず、身体の動かし方の基本を身に付けなければ成長することが出来ません。なぜなら、それを怠ると、高いスキルの動きが習得できなかったり、身体の一部に負担が集中し、怪我や故障、疲労の度合いが上がるため、長続きしないのです。

家族にマッサージをしたら、数分であっても疲れた、という経験のある方は少なくないでしょう。セラピストの施術はその何倍もの時間ですから、しっかりとマッサージに必要な筋肉をつけ、効率的な身体の使い方を習得していく必要があります。また、これを通じて、自分の体力も向上し、疲れにくい身体が作られていくので、普通の方に比べ、齢を重ねても、故障が起きにくく、仕事の為の努力が、結局は自分自身の健康を守ることに繋がっていくのです。

<気力仕事 しなやかな心が強い心>

人間は一人として同じ人がいないように、お客様の健康状態も、性格も、心の状態も、すべて違うため、セラピストにとって毎回の施術が初体験です。リピートしてくださるお客様であっても、その日によってメンタル面も、疲労度合いも、身体の状態も変わります。

そして、サロンにわざわざいらっしゃるということは、辛いから癒しを求めていらっしゃるのであって、辛い時ほど、人は他人に対して攻撃的になりやすいわけですから、そういったお客様も受け止めるしなやかな精神力が必要です。

また、同じ施術をしても、相手によって、喜んでもらえるときと、不満足になってしまう時があります。ですので、マニュアル人間では決して良い仕事が出来ません。どのようなお客様にも満足していただくための改善を目指して工夫することに喜びを感じる、という性格はプラスに働きます。

また、小さな行き違いやミスでお客様に不快な思いをさせてしまうことになって、お叱りを受けることもあります。
そんな時、事実をそのまま客観的に把握し、「お客様に心よりお詫びする謙虚な気持ち」「何がいけなかったのか」「次に同じ失敗をしないために何をすればそれを回避できるか」だけを考えるようにする冷静な受け止め方をする訓練が必要です。

いつもはうまく行っていることを一回、二回失敗しただけで、「ああ、私って駄目だ」「能力がないんだ」と考えてしまうと、仕事に対する気力が失われてしまいます。

実は、心のトラブルを抱え、癒しを求めておられる人の中には、こういった極端な考え方の癖がついてしまっている方が多いのです。でも、それは考え方の癖であって、その人の持って生まれた性質ではないので、訓練によって克服することが可能です。これを認知行動療法と言います。

身体の慢性的なトラブルを抱えている人たちの多くは、その原因を作っているのが心である場合が多いのです。これを心身医学と言い、科学的にも証明されているのです。

ですから、もし、あなたがこのような考え方の癖を持っておられたら、まず、それを克服していくことが必要かもしれません。それがあなた自身の人生を好転させるきっかけにもなりますし、お客様に対する洞察力も深まり、より的確な対応に繋がって、ひいてはセラピストとしての質を上げることになるのです。

<セラピストへの道>

あなたはただ、サロンに就職したいだけなのでしょうか、それともセラピストとして人生を生きたいのでしょうか?それによって、セラピストになるために通る道が変わってきます。

専門知識や技術を学んだことがなく、しかも、サロン勤務も未経験な方に対してもセラピストの求人募集しているところは多く、それに応募して仕事に就いているセラピストもいます。企業側としても、技術は入社後の研修で身につけられるとして、むしろ、人柄や仕事に対する意気込みを買ってくれるケースも少なくありません。

研修を受けた後に現場で働くことが認められれば、いよいよセラピストとしてデビューすることになります。ただし、どんな会社でも、合理性を考えると、研修は最低必要な時間しか行うことが出来ません。ですから、研修を受けただけでは、必要最低限の仕事をこなせるだけの力しかつきません。これが、就職することをゴールとした場合の道です。メリットとしてセラピストになるための投資資金がほとんどいらない、と言うことです。

この場合、セラピストと呼ばれる方々は、基本、もみほぐしを目的とサロンに就職することが多く、どのようなお客様にも、マニュアル通りのコンサルテーションをして、マニュアル通りの施術をしてお返しするだけです。もちろん、それでも1年、2年、仕事に慣れるだけでも時間がかかりますので、その間は成長する自分を感じ、楽しくお仕事が出来るでしょう。この経験は決して無駄にはなりませんし、もし、そのあと、転職したとしても、その方たちにはセラピストとしての一定のスキルが身についているはずです。お客様の接遇にも慣れ、自信もついていることでしょう。

短い研修を受けた何人ものセラピストが同じメニューを提供しているサロンでは、それぞれのセラピストが同じ内容の施術をしなければ、お客様からのクレームになってしまいます。また、出来るだけお客様を回転させて売り上げを上げることが重要ですので、お客様にじっくりと寄り添う、お客様の主訴に合わせて毎回内容を変える余地がありません。
もちろん、中には、自由度の高いサロンもありますが、そもそも、知識も技術も必要最低限しかないセラピストが、自由度を与えられても、結局、より深めた内容の施術を提供することはできません。これが未学習未経験➡研修➡就職の道のデメリットと言えます。

では、セラピストとして人生を生きたい場合、どのような道があるのでしょうか?

たとえば、医者になるためには猛烈な勉強をして医学部に入り、そのうえで、大学で何年も毎日のように勉強してやっとインターンとして現場に出ることが出来ます。あとは現場でまた何年も鍛えられて、勉強会や学会に足を運び、最新の治療について勉強をし、様々な症例を経て、次第に一人前の医者になっていくのです。

セラピストは人の心と身体の健康と美をサポートするお仕事ですから、本来、一定の時間をかけて、専門の講師から深い専門的な知識と技術を学ぶ必要があるお仕事なのです。

想像してみてください。サロン配属の前の短期間の研修を受けただけで、様々な主訴を抱えてサロンにお越しになるお客様に対し、それに見合った知識と技術で対応できるでしょうか? 答えはもちろん、NOです。

結局、本当の意味でのセラピストとして人生を送りたいのであれば、人間の心と身体の癒しについて、まずはしっかりと勉強を行うことが必要なのです。これには当然、時間とお金がかかります。一概には言えませんが、質の高い学校は、セラピストを目指す方には決して安い、短いコースを勧めません。セラピストに必要なスキルを充分身に付けるためにはショートカットはないからなのです。

日本では、マッサージを行うための国家資格を取るためには、2300時間を越える専門的な勉強と国家試験の合格が必要となります。海外でも、米国やヨーロッパの多くの国々では、国家資格ではなくても、最低でも200~300時間勉強や実習をしなければ、マッサージ業を営むことが出来ません。なぜそうなっているかと言うと、お客様に安全に、ご満足いただける施術が出来るセラピストとしてスタートを切るにはそれだけの勉強が必要だからなのです。

いったん、未経験者としてサロンに就職してしばらく働いた方が、そのあと、専門的な勉強をするために、セラピストのスクールに入学されることは良くあります。その方々は、セラピストとして人生を生きる選択をされたのですね。

セラピストとして生きる、ということは厳しいこともありますが、周りも自分も元気になっていく喜びを味わい、自分らしく生きることが出来る一つの素晴らしい選択であると言えます。

Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

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<第1弾>

<第2弾>

3年前からアロマセラピーアンバサダーとしてお仕事を一緒にさせていただいている
ドイツのヘアケア製品の老舗、シュワルツコフ・プロフェッショナル。

「オイル・ウルティム」というヘアサロン専用のヘアケアブランドのプロモ―ションビデオです。

第2弾が1月にアップされていたのに、自分、今日まで気が付いていませんでした。
ヘアサロンのお客様に心地よい香りのオイルでヘッドとハンドの短いマッサージを追加で提供するだけで、お客様との心の距離がぐっと近くなり、なぜかわからないけどまたそのお店に行きたくなってしまうはず、、、そんな私自身の考えをお話しし、マッサージの方法もお伝えしてきました。

オイル・ウルティムはべたつかないヘアオイルだけどハンドマッサージも出来てしまうのがS.P.さんのすごいアイデアです!
欧米のヘアサロン限定ブランドです。

Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

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コロナウイルスの感染症があっという間に世界中に広がり、誰も経験したことがないような大変な状況になってしまいました。感染しても重症化する人としない人がいて、その理由もある程度わかってきていますが、その一つに免疫力の違いがあります。
たとえ来年コロナのワクチンを作ったとしても、今の人たちには間に合いませんし、これから先も、また別の強い感染力や毒性を持つウイルスが出現しないわけはないのです。ということは、将来のことも考えれば、免疫力を高く保つことが生き残るために必要です。そして、免疫力を上げるために日常生活の中で出来ること、また、アロマセラピーで出来ることがあります。
まず、日常生活の中で出来ることとして、コロナウイルスはのどや鼻から入ってくるため、最初のバリヤーである喉や鼻の粘膜を健康な状態に保つことが必要です。

 

●侵入した異物を痰として排出する機能、 粘液線毛輸送能力を落とさない
コロナウイルスが肺の奥深くに侵入しないようにする力は冷たい風、乾燥、喫煙、大気汚染、喘息や鼻炎などの慢性的な炎症で低下してしまいます。中でも非常に良くないのは喫煙です。喫煙者の線毛は脱落してしまっていますので、ヘビースモーカーはウイルスが気道の奥深くまで入ってしまい、インフルエンザなどでも肺炎(COVID-19はウイルスそのものが肺炎を起こすのに対し、インフルエンザで起きる肺炎はバクテリアによる二次感染と言われています)を起こします。 そして、風邪をひかないようにしましょう。風邪をひくと、鼻や喉の粘膜が荒れますので、粘液線毛輸送能力が低下してしまいます。水分をこまめにたっぷりと取り、身体の中を潤すとともに、のどをつねに潤しておくことも予防になります。

 

●身体を冷やさないようにする、睡眠を充分とる、 ストレスをためない
自分でも気が付かないうちに不安や恐れの感情がたまっています。ここは、アロマセラピーの出番でもありますね。不安感は交感神経を優勢にしてしまいますので、夜の睡眠にも影響します。夜はゆっくりとお風呂に浸かって副交感神経を優勢にし、身体を芯から温めましょう。

 

●食べるものに気を付ける
バランスを欠いた食事は免疫力を落としますので、極端な食事制限やダイエットは避けましょう。
•身体を作るたんぱく質の摂取は重要です。細胞の再生、修復に必要ですが、日本人にとって食べなれた大豆製品がお勧めです。
•ビタミンDには細菌やウイルスを殺す「カテリジン」というタンパク(抗菌ペプチド)を作らせる働きや、2型ヘルパーT(Th2)細胞を介したB細胞の活性化の働きがあり、免疫機能を高めるとされています。一定の時間、日光に当たることも重要です。
•ビタミンCは粘膜の機能を向上させますので、バリヤー機能が高まります。
•腸内細菌のバランスが免疫力を左右することが明らかになっています。乳酸菌は免疫力を強化します。Lactobacillus acidophilusやLactobacillus pentosus(S-PT84株)はその効果が明らかにされた乳酸菌の仲間ですが、近年次々と新たにいわゆる善玉菌が発見されています。一方、砂糖や動物性脂肪の摂りすぎは悪玉菌を増やすため、免疫力も低下させてしまいます。

 

●適度な運動は免疫力を高めます
適度な有酸素運動は免疫力を高めますが、注意しなければいけないことは、激しい運動や持久力を必要とする運動をした直後は免疫力が急激に落ちます。その時に風邪を引いたりしますので、注意しましょう。

 

●精油で免疫力を高める
新型コロナウイルスは新しいウイルスですので、これを不活性化させる精油があるのかどうかは今のところわかりません。よって、抗ウイルス効果があるとされる精油を使うのはかまいませんが、新型コロナウイルスに効果があるとは限りません。しかし、精油によって免疫力を強化することは出来るので、そのような精油の使い方をするとよいでしょう。 たとえば、今の私自身への精油のチョイスは基本的にはメンタルからのアプローチです。 今の自分の心(悲しみや不安、動揺)と身体(悪いエネルギーから防衛する)の為にジャスミン、グレープフルーツ、フランキンセンス、タイムリナロールを選びます。 あることが起きても、それに対する人の心の反応の仕方はそれぞれですので、皆さんもご自身の気持ちにぴったり寄り添ってくれる香りを選んでくださいね。 ただの風邪であれば、ティートリーとユーカリラディアータ、もしくはラヴィンサラを、霧状に水が拡散されるタイプのディフューザーで使いましょう。全部で12滴くらい入れて、日中は2回~3回くらい、就寝の際にはこれに鎮静系でかつ殺菌力のある精油を加えて早く使用してみましょう。

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Author / Kazue Gill

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2019年は皆様にとってどのような年となったでしょうか?
人生には色々なことが起きます。とてもうれしいことが続いた方もいる一方で、つらい経験をされた方もおられたことと思います。齢を重ねるごとにおめでたい出来事ばかりではなくなるのも避けることができません。そのような時にこそ、本当に真剣に生きることについて考えることが出来るのかもしれません。

私は改めて今の自分や世の中のあり方を考える年となりました。今の世の中、優しさよりも、競争に勝つこと、正直であることよりも、いかに得をするかが大事になり、目立ってなんぼ的な風潮になり、人間らしく生きようとしても生きにくい、なんだか殺伐とした社会になってきました。

それを覆い隠すかのように、常に新しいもの、かっこいいもの、かわいいもの、自分の欲を掻き立てるもの、便利なものが次々と目の前にぶら下げられて、それを追いかけることで心の中の渇きにすら気が付かなくなってしまっているように思います。

また、情報ばかりが増殖して(その多くは真実ではないですし)、私たちは頭でっかちになり、情報だけで何かが理解出来た錯覚を持ってしまいますが、それは経験することとは全く別の事です。観光ガイドブックを見て、きれいな景色や美味しいレストランの情報をどれだけ見たところで、そこに行くことの代わりにならないのと同じです。私たちの鼻、耳、目、触覚を通じて何かを体験する事で本当に本質を知ることが出来ると思います。

そういう意味で、身体の感覚や双方向のコミュニケーションを必要とし、また他者を元気にすることが喜びであるセラピストの仕事についている人々は幸いと言うほかありません。セラピストは誰かが困っている時、また、つらい状態にあるときの気遣いやフォローがとても優しく、細やかです。私たちセラピストは直接相手の身体に優しく触れ、精油の香りを使うことで、相手の方に自分の愛をダイレクトに伝えることも出来ますし、その場だけの癒しではなく、私たちの施術を通じて、相手も自分も大きなものとつながっている、孤独ではないということに気付くきっかけを提供することが出来るのです。

今、医療現場でも、心のケア、スピリチャルケアを真剣に行っているセラピストの方々がおられます。その方々が大事にしている事、それが、苦しんでいる人たちに寄り添う、という事です。
昔、禅宗の僧侶の方が書かれたある本に『一番難しい修業は「ただそのまま聴く」ことである』と書いてありました。瞑想をしたことがある方は理解できると思いますが、何も考えるな、と言われても、ものすごい勢いで頭の中でおしゃべりをする私たちの脳を静かにさせ、入ってくるものをそのまま受け止め、観察する、ということはとてもとても難しいということなのです。でも、それができて初めてスピリチャルケアが出来るのだと思います。私たちセラピストはどのようにしたら、相手に寄り添う事が出来るのでしょうか?

今年3月21日に東京で開催される「IFPAカンファレンス2020」では、そのようなスピリチャルケアとしてのアロマセラピーを病院で実践されているアロマセラピストや、心に問題を抱えた青少年たちのケアをアロマセラピーで行っているセラピストなど、国内外からお招きし、その実践から学んだことを私たちに共有して頂きます。今年一番のギルイチ押しのIFPAイベント、ぜひご参加ください。

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Author / Kazue Gill

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アロマセラピストの間では、CIBTACの名を聞いたことのある方は少ないと思います。しかし、美容やスパ業界では昔から良く知られています。
今回はCIBTACについて、ご紹介したいと思います。


その前に、まず“スパ”についてご説明します。スパはもともとは温泉や鉱泉のことを指しましたが、現在では“ウェルネス”、つまり、健康増進と美容、癒しを目的とした様々なサービスを提供する施設のことを指します。
プールやジム、ヨガスタジオなどの施設も整っているのが理想です。
日本の湯治場も、原点としての意味で言えばスパになります。

スパのメニューにはボディやフェイシャルの様々なタイプのマッサージ、ネイル、美容機器を使ったトリートメント、ハイドロセラピー、タラソテラピー、アーユルヴェーダやリンパドレナージ、東洋医学、アロマセラピー、ホットストーンなど限りない種類が含まれます。スパセラピストはそれらの様々なサービスを安全に、もっとも効果的に提供できるスキルを持っていなければ務まりません。

このところ、外国人観光客の増加で、スパを持つ外資系の高級ホテルの開業ラッシュが続いています。
ジャパン・エコール・デ・アロマテラピーの母体である株式会社サンリツでは今年だけでも、北海道から沖縄まで5つのホテルスパの運営やお手伝いを請け負っています。
そこで働くサンリツのセラピストは素晴らしい技能とおもてなしの心を兼ね備え、一流のサービスを求めておられるお客様に満足していただくトリートメントを提供しています。

CIBTAC(Confederation of International Beauty Therapy & Cosmetology)の歴史は古く、1977 年にサロンやスパで美容トリートメントや化粧品を扱うセラピストの為の賠償保険を提供する英国の協会BABTAC (The British Association of Beauty Therapy & Cosmetology)の教育部門として設立されました。
スパセラピーに必要なスキルの教育システムを提供し、公平で透明性の高い世界共通試験を通じて多くのスパセラピストの認定を行っています。

CIBTACセンターは世界26か国に200校以上ありますが、日本にはジャパン・エコール・デ・アロマテラピーを含め、現在4校しかありません。厳しい審査に合格した研修施設だけがCIBTACセンターになることができます。
日本ではジャパン・エコール・デ・アロマテラピー以外のセンターはどこも美容やスパの専門校です。
世界のセレブが利用することで知られる高級スパ、タイの「チバソム」付属のスクールもCIBTACセンターで、世界中からセラピストが資格取得の為に集まっています。

ジャパン・エコール・デ・アロマテラピーで取得可能なビスポーク・ボディマッサージ・ディプロマ『CIBTAC Bespoke Body Massage Diploma(E17)』の資格は、職業訓練基準のレベル3を満たすものです。
ジャパン・エコール・デ・アロマテラピーのモジュール1実技と、モジュール2実技(もしくはアロマフェイシャル)と解剖生理学(ベーシック&アドバンス)を学んだ方はこの資格の取得試験に必要な学習の大部分をすでに学んでいます。
ですので、あと少し、補習するだけでCIBTACの認定試験を受験することができるのです。
主に次のようなことを12時間の補習で学びます。
  
衛生学、感染症予防、皮膚疾患学、経営学、保険、サロン運営、コミュニケーションと接遇スキル、スパ施設の設備やメニューについて、クライアントの姿勢アセスメントを含めたより詳細なコンサルテーション、栄養学、クレーム対応、一流のスパセラピストにふさわしい立ち振る舞い、話し言葉、装い、好転反応、叩打法や振動法などの手技、ボディマッサージ実技の確認、などが含まれます。
  
アロマセラピストとしてのスキルは英国IFPA資格で充分ですが、世界のスパで通用するセラピストという点で、CIBTACのボディマッサージ資格を取得することは、皆さんに新しい知識やスキルをもたらすだけでなく、より大きな自信や就職のチャンスを与えてくれることと思います。
ぜひ、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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>>CIBTAC資格対応コース詳細

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先日、ザ・プリンスさくらタワー東京〜SPA THE SAKURA〜マネージャーである義本美和さんにインタビューしました。ぜひこちらもご覧ください。

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Author / Kazue Gill

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先日のブログではキース先生の記事を書きました。
最後に、「キース先生は仕事をしたことがない」とおっしゃったけれど、なぜか?と言うところで終わっていました。

今月はその続きです。
キース先生はご自身のしていることがとても好きで、楽しんでいるために、仕事をしたことはない、とおっしゃったのでした。

普通の人は仕事をどんなに好きでも、ああもう嫌だ、とか、疲れた、とか、仕事に行きたくない、と思うことが時々あるものですが、キース先生にはそれがなかったのです。いつも、好きなことをしていたので、心のエネルギーが高い状態が保たれていたので、免疫力がとっても強いのです。だからこそ52年間、病欠が一日もない、という驚異的なことができたのでしょう。

今月は、キースさんの身体の使い方について書きたいと思います。
毎日5日間、病院のベッドの上の患者さんにマッサージをする仕事では、身体の使い方に気を付けない腰を痛めます

衰弱しておられる方ほど身体を動かせないので、サロンのマッサージベッドでするようなレギュラーな体位にはなれません。
パジャマを脱ぐことさえできないことも多いのです。


また、病室のベッドは低いままでしなければならないときも少なくありません。
このような際、身体の使い方が正しくないとすぐに腰や肩、首がだるくなったり痛くなったりしてしまうのです。

ベッドが低い時は前かがみにならず、足を前後に大きく開き、前の膝は曲げ、後ろの膝は伸ばした状態で、背骨は出来るだけ垂直を保ちます。このポジションだと、重心も前後に動かしやすくなるため、上半身にはほとんど負荷をかけずに、エフルラージュができます。

僧帽筋の棘上部や、棘上筋、肩甲挙筋のような筋肉はそれほど大きくない筋肉です。上半身だけでマッサージしている人はこの筋肉を緊張させますが、出力パワーはさほど大きくなく、しかも、固いタッチになってしまいます。

下半身が良く使えている人では、大腿部や殿筋などの大きな筋肉が良く動いていて、身体の芯がしっかりと充実して安定しています。その結果、肩や首の筋肉は比較的リラックスしていても大きな力を出力できるのです。この状態でマッサージを行うと二つのメリットがあります。一つ目は、セラピストが疲れません。二つ目は、優しいけれど深い圧が入ります(圧を入れたければ)。また、セラピストは圧の調整幅が大きくなりますので、よりどんな相手にも対応できるようになります。

本当なら、エフルラージュやペトリサージュやニーディングを学ぶ前に、まず身体の使い方をしっかり習得出来るまで練習するのが理想なのです。
次回は、キース先生の患者さんへの向き合い方について書きます。

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Author / Kazue Gill

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さる6月、英国よりキース・ハント先生が来日、クリニカルマッサージの二日間のワークショップを開講しました。
今回で3回目となる講習会でしたが、前回よりもまして勉強になる講習会でした。
キース先生との最初の出会いは、1996年から10年間、毎年続いたJEAの英国アロママッサージ研修ツアーの中でした。

この研修ツアーは、現代の英国でオイルマッサージを初めて病院の患者さんに行ったマッサージ界のカリスマ、クレア・マクスウェル・ハドソン先生のスクールで一週間マッサージを教えて頂くと言うものでしたが、そのクレア先生の教え子が、ロンドンにあるロイヤル・フリー・ホスピタルで患者さんにマッサージを行っているのを毎回見学をさせて頂いていました。それがキース先生でした。

大柄の男性で、しかも、ピンクのTシャツを着た、とっても陽気で庶民的なキース先生は、日本人のアロマセラピストが考えるようなセラピスト像とはかけ離れたタイプの方でした。ですが、この方だからこそ、世界で他に類を見ない偉業を成し遂げられたのです。ロイヤルフリー病院では、昨年2018年一年間にキースさん率いる25名のセラピストチームがマッサージを行った回数は驚愕の36,000回でした!!

今月から何回かに分けて、そのキース先生からの学びをみなさんと共有したいと思います。
キース先生は、今年69歳になられました。昨年68歳で52年間務めたロイヤルフリー病院を退職されました。キース先生がロイヤルフリー病院に就職されたのが1967年、16歳の時でした。52年間の勤務年数のうち、最初の26年間はセラピストとは全く関係の無い、ロイヤルフリー病院施設内にある職員専用のスポーツセンターのスタッフとして働かれていました。
ところで、キース先生の偉業と言うのは、もちろんセラピストとしての偉業のこともあるのですが、そればかりではなく、働く人としての偉業もあります。それは52年間、一日も病気で欠勤したことがない!!と言う事です。それだけでも周りから「きみは人間じゃない!」と言われるほどなのですが、いったい、どうしてそれが出来たのか、毎年一回は風邪をひいたりして仕事を休むことがあるほとんどの人間にとって、とても不思議ですね。

キースさんはセラピストとして働き始めた後も、何年かはものすごいヘビースモーカーで、一日に60本煙草を吸っておられたそうです。やめたきっかけは、肺がんで末期の患者さんに煙草を吸っているところを見られ、肺がんの患者にマッサージをする君がたばこを吸うなんて、何を考えている!と怒られた事だったそうです。

さて、キース先生は「わたしは仕事をしたことがありません」とおっしゃります。それはどういう意味なのか、それは次回のお楽しみに。

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Author / Kazue Gill

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