このところ、ベチバーの芳香蒸留水を洗顔後の化粧水として使っています。今日はこのベチバーの話をします。

私は英国に住んでいた1985~95年の間に自然療法に目覚め、アロマセラピーやヨガを習い始めました。その時、よく耳にしたのが、“グラウンディング”という言葉でした。精神状態が安定して冷静である、または地に足がついている、よって、大地のエネルギーによって充電ができている、というような意味あいで使われていました。

さて、精油はその揮発スピードによって、トップ、ミドル、ベースと分けられていますが、このベースノートの香り、つまり、重い、長持ちするベースノートの香りを持つ精油がいわゆる、グラウンディングの精油として使用されます。たとえば、不安感、不眠、自信欠如、パニック、考えることがやめられない、などの精神状態に対して効果があります。
そのベースノートの精油の一つに、イネ科のベチバーという精油があります。ベチバーが本来育つのはインドのような暑い地域ですが、近年、日本でもベチバーの栽培がおこなわれ、国産の精油も誕生しています。レモングラスのような外観をしていますが、使用されるのは葉ではなく、その根っこです。
個々の精油がどんなことに効果があるのかを考えたときに、その精油が植物のどの部分から採れたものなのか、どんな環境で育ったか、などを知ると、不思議に納得がいくのです。
ベチバーの根はたくさんの細い根で、深く、びっしりと土に張っています。ですから、グラウンディング、すなわち揺らがない、安定させる力を持つのです。また、根は植物にとっては生きるために必要な水やビタミン、ミネラルを土から吸収する機能があります。これは、栄養の吸収を行うということになりますから、私たちにとっては胃や腸のような栄養を吸収する臓器の機能を高めてくれるのです。仕事が忙しく、消耗してばかりいる人には心にも身体にも充電が必要です。
そして、ベチバーは暑い気候の中で育ちますので、暑さに強い、すなわち、冷やす作用があるのです。ですので、全身に使えば身体を冷やしますので暑さで身体が弱っている時や、関節炎などの炎症性の疾患に良く、また、たとえ冬であっても、頭を使い過ぎたときにはベチバーの香りをかいだり、顔や頭に芳香蒸留水などを塗布したりスプレーすればスーッと落ち着いて気が頭から降りてきます。私たち現代人は運動不足で首から上ばかり使っていますから常に気が頭に上がっている状態ですので、こんなときの頭痛にも良いとされます。アロマセラピーではベチバーは脳卒中後のリハビリ期間にも循環を良くするために使用されることがあります。

インドや東南アジアではベチバーの根でマットやすだれを作っています。とても涼しげな香りが心地よいばかりではなく、虫よけ効果もあります。特に、すだれは水をかけると香りが立ち、気化熱によって部屋が涼しくなるそうです。

昔、バリでベチバーの根で作られたランチョンマットを買ってきましが、長い間香りを楽しむことが出来ました。そのランチョンマットを使うたびにバリに旅行した時の楽しい気分がよみがえって、ああ、また行きたい!と思わせてくれました。香りは常に記憶を呼び覚まします。これがアロマセラピーのもっとも素敵な魅力です。

↑ベチバーの根で編まれたリンゴのオブジェ

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Author / Kazue Gill

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January 17 2022

気と浄化

あけましておめでとうございます。
日本人にとって元旦はとても重要な一年の節目です。
スッキリと風通しの良い心身で爽やかなスタートを切りたいですね。

日本には四季があります。自然界では、季節により、食べ物が多かったり、少なかったり、食物の種類も変わります。食べる物が豊富な春の後半から夏にかけて、動物はたくさん食べて栄養を吸収しますが、活動も活発になりますので、身体の中も健康的になります。

そして、秋が来ると、食べ物が少なくなる冬に備えて、食べられるだけ食べて皮下脂肪を蓄え、場合によってはどこかに食べ物を隠したりします。やがて冬になると食べるものが無くなるので、隠しておいた食べ物を少しずつ食べたり、冬眠したり、あまり動かずにエネルギーを温存しながら、蓄えた皮下脂肪をエネルギーとして使い、自然に体重が落ちていきます。
そして春が来て再び少しずつ食べものが増えてきます。このようなサイクルを毎年繰り返すことで、知らぬ間に動物は身体の中のお掃除もしています。皮下脂肪は非常事態に備えたエネルギーの貯蔵庫でもあると同時に、色々な毒素もため込んでいます。

今のような日本の社会では、季節に関わらず、ほとんどの人が食べたいときに食べたいだけ食べられます。
特に冬でもクリスマスだ、お正月だ、とお祝い続きでごちそうを食べ、ゴロゴロしています。寒いので運動量も減って、あまったエネルギーは脂肪として蓄積して行きます。

動物であれば、冬に体重を落とすため、脂肪に蓄えた毒も汚れも一緒に排出されていくのですが、私たち現代人はかえって冬に太ったりしていますね。
たとえば、遺伝子が人間に近い猿と比べると、人間の体脂肪率はとても高いのです。
女性で20-25%が健康的な標準値ですが、ヒト以外の霊長類では5-10%ほどしかないと言われています。
また、食べ物が少なければ、消化管や肝臓などが休み、浄化され、修復することも出来ます。
ファースティングはその意味で一定の効果がありますが、定期的に行わないと意味がありません。
日本の場合、お正月でごちそうを食べ過ぎた後、七草粥を食べて、ハーブの力も使って、内臓をいたわり、毒素の排出を促す習慣がありますが、一回食べたくらいでは、その効果は薄いと思います。

実は、私は2021年までの11年間で体重が10キロ増えてしまっていました。年齢と一緒にほぼ毎年1キロずつ、増えていった計算です。
そして2021年の5月には京都市から「このお知らせは人間ドックで肥満と診断された方にお送りしています」という通達が届いてしまいました。
血中コレステロール値も若干、正常値を上回っていました。それまでも、多少、食べる量を減らしてはいましたが、なかなか痩せることは出来ませんでした。
そこで、2021年6月から本気で減量に取り組みました。
そして10月までの5カ月で6キロ減量出来ました。しかも、健康的に痩せることが出来ました。どうやって成功させたかは紙面の関係上、ここでは述べることができませんが、いずれ、皆様にご紹介できると思います。

減量してみて良かったことは、もちろん、見た目がすっきりしたのはありますが、何よりも、「頭の回転が良くなった」「いびきをかかなくなった」「疲れなくなった」「前屈でお腹の肉がはさまらなくなった(笑)」ことです。
そして、もっとも良かったのは、身体の中の脂肪とともに、そこに溜まっていたゴミも排出できたせいか、身体の中がきれいになったと感じます。そうすると、気の通りも良くなったので、いままでよりも気を感じやすくなりました。

毎年1回、JEAで開催する日本ホリスティック医学協会の「ホリスティックヘルス塾」の講座は(2022年2月20日開催)ホリスティックな健康を目指したい方へ向けたものですが、その中でご紹介させていただく、調身、調息、調心では気を整えることが目的で、病気の予防にも気が関わっています。
身体の汚れと気の停滞が病気をもたらすのです。そこで、今年の私のテーマは「気と浄化」としました。

6月にはハーバリストでヒーラーのシャーロッテ・ムトロさんに、オンライン講座をしていただく予定です。どうぞお楽しみに!

セラピストレディネス ホリスティック・クレンジング&デトックス
〜肉体・思考・感情の浄化であなたの施術が一変する〜
【日時】6月5日、12日(日)14:00〜17:00

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Author / Kazue Gill

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November 30 2021

生物の進化と精油

地球上に命が誕生してからいままで、すべての生物は生き残るために進化を遂げてきました。

植物の世界では、たとえば、松は原始の頃からある植物の一つで、その精油にはほぼ、モノテルペン類の芳香成分しか含まれません。精油は他の生きものや病原体から身を守る目的も持っていますので、松が生まれたころは天敵も病原体も種類が少なく、精油成分の種類も少なくて済んだのでしょう。

これに対し、植物の中でも比較的新しい植物の一つであるバラの花の精油には様々な芳香成分が含まれています。
テルペン類、アルコール類、エステル類、フェノール類、などバラエティに富んでいます。バラが生まれた時代は、天敵も病原体も増えて、それだけ様々な種類の危険から自己を守る必要があったからでしょう。

私達人間はもっとも新しい動物の一つです。地球上の生命はシアノバクテリアから始まり、魚のような生き物、鳥類、哺乳類へと進化してきました。人間の受精卵が卵割を経て、胎児として育っていく過程で魚のように見えたり、指の間に水かきがあったり、しっぽがあったり、あたかも進化のプロセスを経て、生まれてくるときにはすっかり人間になっています。

ですので、私たちの身体の中にも、原始的な部分もあり、また進化した部分もあります。
呼吸などの根本的な生命現象を司る脳幹は頭のもっとも中心の深いところにあり、原始脳、つまり、ただ生きていることに必要な脳です。
次に脳幹の上を覆うように位置する脳は感情や自律神経を司る大脳辺縁系や視床下部などの古皮質、動物脳とも言われます。

そして、創造する力、高次元の思考能力などは大脳新皮質にあり、人間の脳でもっとも発達しています。このように脳の一番深いところから順に、発達してきていますので、精油も複雑で成分が多い種類のものほど、人間特有の複雑な心や身体の問題に対応できる力が大きいように感じます。

呼吸に関するトラブルには古代から生きている樹木、たとえば、松、ユーカリ、乳香などの比較的単純な成分の樹木の精油が有用であるのを見ても確かにその通りですし、バラやラベンダーなどは人間に特有の新皮質の脳が持つ、将来の不安や悩み、後悔、心の葛藤などに対して対応が可能になるのです。
心身の不調に対して、このような視点から考えて精油を選ぶこともあり、ですね。

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Author / Kazue Gill

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フランスが元祖、メディカルアロマテラピー

フランスのメディカルアロマセラピーを紹介する講座を先日オンラインで開催しました。>>講座詳細

14年前からJEAの授業や、ソレイユ(JEAのセラピスト派遣事業部)がセラピストを派遣している多くの医療施設で使用している精油[ブランド名:モンサンミッシェル]を提供してくださってきたのが、今回の講座の主役であるフランスの老舗精油販売会社「フロリラブ」さんです。

↑「フロリラブ」植物療法専門の薬剤師のピエール・ランベール氏

調剤薬局や医師が顧客

フロリラブは20年以上にわたり、ヨーロッパ最大級の調剤薬局を含む3,600以上の薬局と1500の医療関係者を中心に精油を提供してきました。つまり、医療用精油のプロバイダーなのです。

日本やアメリカ、英国のようにアロマセラピストが精油を療法に用いるのとは違い、医師が疾病の治療薬として精油を様々な賦形剤の形で処方するのがアロマテラピー発祥の国、フランスの今のアロマテラピーの姿なのです。

ウイルスやバクテリア、真菌類による感染症から、睡眠障害、皮膚疾患、自律神経失調、更年期障害、筋肉や関節の炎症や痛みなど、様々な疾患に精油が処方されているのです。

 

お茶を濁す名称「アロマオイル」

日本の一般消費者は知らない事なのですが、「アロマオイル」と呼ばれる香りのする液体は本物の精油ではない場合が多いのです。精油の定義は「芳香植物から水蒸気蒸留法で得られる100%天然の揮発性有機化合物」ですから、安価な合成物質だけで出来ていたり、それらを精油に混ぜたものを販売している会社は、「精油」と言うと嘘になってしまうため、あえてアロマオイルという新しい呼び名で呼んでいる場合もあると考えられます。

念のために書いておきますが、精油は「油脂類」ではありません。精油には油脂成分は全く含まれません。

(圧搾法で抽出されたミカン科の植物の精油も本来は精油ではなく、エキストラクトに分類されます。)

 

人間が合成した香料は3000種類

昔、ヨーロッパでは香水はすべて植物から蒸留した精油とアルコールで出来ていましたが、現在では、香水のほとんどは植物由来ではなく、ベンゼンやアセチレンなどから化学的に合成された香料とアルコールを組み合わせて作っています。

芳香植物は香りが良いだけではなく、薬用植物としての働きを持つものが多いのです。

たとえば、仏像、お線香や扇子などの材料として日本で昔から使用されていたサンダルウッド(白檀)は、乳香や没薬など宗教儀式に使用される芳香植物の多くがそうであるように、精神安定作用がありますが、一方で、殺菌作用や消炎作用などもあリ、アロマセラピーでも人気の精油です。

しかし、栽培が需要に追い付かず、サンダルウッドは今や非常に高価な精油となってしまいました。

そのため、香料業界では、もうずっと前から本物の精油ではなく、化学的に合成された白檀らしい香りの香料を作り、使用しています。その中身は企業秘密です。もちろん、それは薬としては使えません。

 

香りのシンフォニー

今回、フロリラブが誇るラベンダーの精油について、その栽培から蒸留に至るまでのこだわりについて説明がありました。

JEAの授業で使用しているラベンダーを嗅いでみていただくとわかるのですが、香りが豊かで奥深く、まるで香りのシンフォニーです。安いラベンダー精油のような奥行きのないキツさもありません。その香りの奥深さはいったいどこから来るのでしょうか?

 

環境を選ぶ

フロリラブは自然が豊かで、大気汚染や農薬汚染がなく、かつ、標高1000メートル以上の高地でラベンダーを栽培する農場から長年精油を買いつけています。(良いラベンダーの精油は標高が低いところでは作れません。)

種から育てるのには理由があります

北海道などで見かけるような、青一色の整然として花の高さがそろった畝のラベンダー畑のラベンダーは、実は挿し木で増やしたクローンです。つまり、桜で言えばソメイヨシノです。一つ一つの株の色も形も匂いも全く同じなのです。それが香りを単調なものにしています。

↑挿し木で育てたクローンラベンダー

 

↑種から育てたラベンダー

フロリラブが契約している農場では「挿し木「ではなく、「種」からラベンダーを育てています。写真で比べてみるとわかりますが、種から育てたラベンダーは色のバリエーションがたくさんあります。これは何を意味するのでしょうか?

実は、精油に含まれる芳香成分がバラエティに富んでいるということなのです。これはまさに香りのシンフォニーなのです。奥行きのある、まろやかな香りがそれを物語っています。

 

大量生産ラベンダーとの違い

大きな農場のクローンのラベンダーは姿かたちが整っているので、トラクターで一気に収穫できるため、大量に精油が採れ、低コストです。これらの精油のバイヤーは複雑な香りや芳香成分の薬理効果にはこだわらず、出来るだけ安い精油を買い付け、化粧品会社などにせっけんや化粧品の香料として大量に卸しています。 

これに対し、薬用の精油を扱うフロリラブが購入するラベンダー精油は全く違うアプローチで作られています。

種から育てたラベンダーは花の高さがまちまち。本来それが自然な状態なのです。ですから、手作業でしか収穫できません。収穫したものは束にして一日置き、水分を飛ばして香りを濃縮させます。

 

湧き水を使って丁寧に蒸留する

そのあと、変質を避けるためにすぐに農場の蒸留器で蒸留するのです。

蒸留に使用するのは清らかな湧き水です。

蒸留にはゆっくりと時間をかけ、出来るだけ多くの芳香成分が残るように行います。また、蒸留した後に残った植物の残渣は、次の蒸留のための燃料として使用するため、無駄がなく、とてもエコです。

手間暇かけて、心をかけて生まれた精油

フロリラブでは常に新鮮な精油を販売することにこだわっているため、大量に仕入れて在庫にすることはせず、信頼関係で結ばれた、薬用としての品質にこだわる顧客に販売するために必要な量しか買い付けません。

これほどまでに手をかけて大切に育て、丁寧に採取され、蒸留された精油を使わせていただける私たちは本当に恵まれているのです。

 

あらためて、これからも、モンサンミッシェルのラベンダーを大事に使わせていただきたいと思います。

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Author / Kazue Gill

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ロイヤル・フリー病院はロンドンの閑静なハムステッド地区にあるヨーロッパ有数の総合病院です。
1828年、外科医として働き始めたばかりのウィリアム・マーズデン医師は、貧しい人々が医療を受けられない現実に驚き、貧しい人が無料で治療を受けられる病院が必要であると考え、皇室の援助を受けてこの病院が設立されました。19世紀にヨーロッパでコレラが猛威を振るった際に唯一、閉鎖せずに治療を続けた病院としても有名です。常に真に患者に寄り添う病院だからこそ、アロマトリートメントがここまでしっかりと定着したのです。

このロイヤル・フリー病院で1992年にアロマトリートメントを始め、その後、2019年に定年退職するまで補完療法チームのリーダーとしてマッサージを続けたセラピストがサー・キース・ハントです。
彼は、もともとリクリエーション・マネージャーとして十代で病院に就職しましたが、イベント開催中のある事件をきっかけに、「触れること」の重要性に目覚め、病院でのマッサージの草分けである英国人のクレア・マクスウェル・ハドソン氏に師事し、マッサージを学びました。始めは慣れないマッサージの勉強に挫折しそうになりながらも、周りの人々に支えられて無事、資格を取得しました。
彼は最初、仕事の傍ら、医療スタッフのストレスケアとして医師や看護師にボランティアでマッサージを行っていましたが、その効果を実感した医師たちが、患者への施術を依頼するようになり、その成果が認められて、2001年、病院のマッサージセラピストとして正式に雇用されました。

そして、年々、施術件数が飛躍的に伸び、これまでに何十万人もの患者とその家族に癒しの時間が提供されました。その素晴らしい功績に対し、2013年には王室からサー(MBE)の称号が与えられました。
補完療法チームのメンバーも次第に増え、2017/18にはセラピストは24名となり、年間の施術件数がなんと34,780回に登りました。
ロイヤル・フリーでは、医師の指示書があればどのような病気の患者でも無料でアロマトリートメントが受けられます。化学療法、放射線療法、透析、臓器移植などを受けている患者も例外ではありません。年齢も5歳から101歳まで幅広く、すべての病棟の患者が対象です。オンコロジーマッサージ(がん患者へのマッサージ)はもちろん、様々な難病や進行性の病気、遺伝性の病気の患者にも施術を行います。
エボラ出血熱に感染した看護師にもチームのメンバーが防護服を着用してマッサージを提供しました。
キース先生は2019年に定年を迎えて退職しましたが、その後もボランティアとして週に一回、病院で施術を行っています。
昔も今も、キース先生は病棟内を歩く時も笑顔を絶やさず、どんな相手にも気さくでフレンドリーに対する病院の人気者です。キース先生が常にセラピストに心がけてほしいと説いているのが「アイコンタクト」。心を通わせるためにもっとも重要なコミュニケーションです。
キース先生は輝く光を放つ天使のような方ですが、医療現場での施術に関わる数多くのルールや責任、施術記録管理、様々な病気で苦しむ多様な文化背景を持つ人々へのパーソナルな対応、個性と考え方が多様なセラピストチームを一つにまとめて信頼されるチームを維持すること、また、寄付で支えられているセラピストスタッフの人件費を工面する寄付金集めの活動、などなど、非常に現実的な面も持ち合わせたバランスの取れたセラピストです。だからこそ、実現できた施術件数と功績なのです。世界中のどこを探しても、これだけのマッサージ施術症例を果たしたチームは他にありません。1996年からそのキース先生の働くロイヤル・フリー病院での見学や研修ツアーを開催してきたのがJEA校長のギルです。

2022年1月、JEAのために、キース先生が再び、ロイヤル・フリーで培った叡智を伝えてくれます。
コロナウィルスの状況が許せば来日し、技術研修をしていただきます。もし、来日が難しい状況でも、オンライン講座(Zoom)で現場での症例とアプローチについて講義をしていただく予定です。ぜひ、この素晴らしい機会を見逃されませんように!

>>JEA25周年特設サイトはこちら

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Author / Kazue Gill

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アロマテラピーと言う言葉はフランスのR.M.ガットフォセが1928年に作りだされた言葉ですが、直訳すると日本語では芳香療法となります。しかし、実際のところは、フランスでは歴史的にも『香りで癒す』、というより、芳香植物を薬として用いた殺菌消毒、強壮、治癒促進、消炎、鎮静などを目的とする治療法がアロマテラピーだったのです。ガットフォセが行った治療法もこのようなものでした。
その流れをくんで、今でもフランスでは精油は薬の材料として使われています。ここが日本と違うところです。
たとえば、日本で言えば、医師免許を持った漢方医がいるように、フランスでも植物療法の知識を持つ医師がいます。
西洋の合成薬よりは自然の薬を使いたいという患者さんがそのようなドクターにかかります。
植物療法ドクターは通常の診察通りに患者の診察をして、精油を使用した処方箋を書き、患者はそれを調剤薬局に持っていって処方をしてもらう、というのがフランスでの本来のアロマテラピーです。

日本でも90年代後半からアロマテラピーが知られるようになり、今ではその言葉を知らない若い女性はいないでしょう。しかし、その主役である精油が何なのか、わかっている人はごくわずかです。

精油は目で見てそれが何かとわかるようなものではありません。
形を持つ野菜やハーブと違って、パッと見、遮光ビンの中に入っている『香りの強い液体』ですので、しろうとにはそれが100%正真正銘の精油なのか、それとも混ぜ物が入っているのかを判断することが出来ません。完全に合成されたアロマオイルを天然の精油だと勘違いしている方もたくさんいます。

近年、香害といって、合成香料の香りで健康被害が出ているくらいですので、これを精油と信じ込んで肌につけたり、フランスの真似をして素人判断で飲んだりすることは非常にリスクが高い行為であることはもっと広く知られるべき情報です。
一般の方は全くご存じないと思いますが、このような治療用の精油と、一般消費者向けに販売されている精油、食品産業や化粧品産業での工業用香料として流通している精油とは流通ルートも流通量も価格も違います。また、精油そのものの品質も違います。医療用として処方に使用される精油は必ず、ロットごとに成分分析が行われ、その構成成分、有効成分や毒性成分の含有量、混ぜ物がされていないかも調べます。精油は内服薬や坐薬として身体の中に入りますので、それは当たり前のことと言えば当たり前ですね。

そのような厳しいチェックを受けて実際に調剤薬局で処方に使用されている精油であれば、セラピューティックグレードとかメディカルグレードと呼んでも差支えないと思いますが、世間ではそうではない精油をもセラピューティックグレードとして売っている場合があります。
精油の販売会社と利益相反になりそうなつながりのある民間の法人がお墨付きを与え、勝手にセラピューティックグレードと謳い、医師の免許もない、アロマセラピーの専門的知識も精油成分の毒性についても学んでもいない人々が、他の精油より効果が高いとか、飲むことや原液で皮膚につけることも安全です、なぜならセラピューティックグレードだから、と言って(おそらくご本人もそう思い込んでいる)販売している困った現象がこの何年かの間に、日本でも広まってしまいました。

これが、医療従事者の間でもそうなっていることを私は非常に危惧しています。
情報の真偽を見分ける力が低いと、そのようなことになってしまいます。このブログを読んでくださった皆様だけでも、ぜひ、ここは気を付けていただきたいと思います。

 

ところで、9月20日にフランスで調剤薬局に精油を卸している薬剤師であるピエール・ランベール氏に、フランスのアロマテラピー事情と、役に立つ精油情報についてオンライン講演をしていただくことになりました。フランスでは伝統的にどのような疾患に対し精油の薬が処方されて来たのか、その規模や基準についてもお話いただきます。アロマセラピストの方はもちろん、そうではないけど精油を使っている、使いたいと思っている方には必見の本当の情報が聞けるまたとないチャンスです。
アーカイブ(録画視聴)も出来ますので、ぜひ、お見逃しなく。
>>詳細はこちら

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Author / Kazue Gill

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先日、JEAの卒業生で、英国IFPA認定アロマセラピストの畑亜紀子さんに「病院でアロマセラピストとして働く」という二回の特別講義をしていただきました。
そこから考えたことを今日はお伝えしたいと思います。

私がJEAを開校したのが1996年でした。
自分の体験から、アロマセラピーは日常の不調のようなものに対して使うことで、元気や健康を取り戻すことだけでなく、より深刻な、命にかかわることで病院や自宅で療養する方々に、時には驚くようなQOLの改善や心の慰安をもたらすことを知っていました。 しんどい状態の人ほど、アロマセラピーが大きな効果があることを肌で感じていたのです。
ですので、開校当初からから常に目指してきたのが、いつかそのような場でアロマセラピーが当たり前のように提供できるような社会です。

その目的を果たすために、アロマセラピストが学ばなければいけないこと明確にし、授業の中に反映させてきました。
医療現場へのセラピスト派遣事業部「ソレイユ」を2003年に立ち上げました。現在のJEAのモジュール3では、その派遣で培ってきた、医療現場でのアロマセラピーの実践のノウハウをお伝えしています。
ただ、いままで知られていなかった、アロマセラピーのような海外発祥の自然療法を医療の現場に受け入れてもらうことには本当にたくさんの「壁」があります。
経験したことのない人にはわからない苦労や誤解、不信感、警戒感に阻まれて、本当に苦難の連続です。
しかし、医療の中でアロマセラピストに求められていることに真摯に、謙虚に対応していくことで、そのいくつもの「壁」を乗り越えて、JEAの卒業生が病院やクリニックでアロマセラピーを施術できる場が少しずつ増えて行きました。

ただし、それは日本のどこでもそうなっているわけではなく、ソレイユ含め、
今も本当に限られた人だけが実現出来ているだけなのです。それは当然と言えば当然なのです。それは、簡単なことではないからなのです。
医療として認められていないアロマセラピーを、医療資格を持たない人間が行うことが多いのが日本のアロマセラピーです。
これが医療現場にはなかなか受け入れてもらえない理由の一つです。

そのような中で、自分一人で頑張ってその「壁」乗り越えてこられた方が畑さんなのです。

JEAに入校される方の多くは、「人の為にアロマセラピーを役立てたい」「医療の中で役立てたい」「苦しんでいる人の為に使いたい」という、大きな愛を持った方々です。
まさにセラピストマインドをお持ちです。ただ、上に述べたような壁を乗り越えるためには愛だけでは足りません。
また、精油の薬効を良く知っているだけでも足りないのです。
この壁を乗り越えるために必要なこと、それを畑さんが現場の経験やご自身が行ってきた研究を例に挙げながら、非常にわかりやすく、2回の講座で包括的に伝えてくださいました。
畑さんは、アロマセラピストとして京都医療センターでずっとお仕事をされています。
畑さんの講義を聞いていると、「簡単ではない事」が、「出来そうな事」になっていく気がします。
まじめな研究や統計の話、終末期患者さんの症例の話を、ところどころでユーモアを交えながら、わかりやすく解説してくださる畑さんの講義は、多くのアロマセラピストやアロマセラピストを目指して勉強されている方々が頼りに出来る道しるべとなっています。

講座は終了しましたがアーカイブ視聴が出来ます。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.jea25th.com/post/hata_akiko

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Author / Kazue Gill

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人は変化を好まない
コロナ禍になってもうそろそろ一年半になります。多くの方々がその影響によって様々な変化を余儀なくされました。
まず、テレワークや外出制限、そして、教育に関わる人々にとってはオンライン授業などが生活を大きく変えました。
頭の固くなってしまっている中高年やデジタル系に興味がなく、避けてきた人々にとってはオンライン授業を開くのも参加するのもハードルが高かったと思いますが、背に腹は変えられない、いやと言ったら仕事も失うくらいの時は、どんな人もそのハードルを何とか飛び越えてしまうから人間の力ってすごいなと思います。

 

ところで、いまさらなのですが、2017年に英国の王立園芸協会がローズマリーは実はセージの仲間であるということを宣言し、260年以上にわたって世界中で使われてきたRosmarinus officinalis からSalvia rosmarinus に改名してしまったのです。
植物の学名は英国王立園芸協会に決定権があるらしいのです。さすが大英帝国の威厳ですね。

 

学名変更の件は少しの時間を経て、日本の私たちの耳にも入って来ていましたが、世の中はまだそれを認識しているのかいないのか、誰もあまり話題にしていません。
ウィキペディアでさえも、このブログを書いている2021年7月23日の今も、まだ古い学名のままです。
じゃあ、うちのテキストもまだこのままでいいか~なんて思ってしまうのです。そのうち変えます、すみません。

 

ローズマリーは薬用植物としてとにかくスーパープラントだと思います。
万能薬と言っていいほどの様々な薬理効果の中でも、近年抗酸化作用のある植物やその抽出物が注目を集めていますが、そのようなことが言われる前の、ずっとずっと大昔からヨーロッパでは伝統的に、脳への血流を高めるので認知症に良いとされて、若返りに良いと言われてきたのです。
食品業界でももうだいぶ前からローズマリー抽出物が酸化防止添加物として使われてきました。
精油には含まれませんが、ロスマリン酸がそのような物質の一つとして研究対象となっています。
東京大学でのアルツハイマー予防効果を調べた実験があります。
アルツハイマー病の発症に関わるアミロイドβの凝集をロスマリン酸が抑制するというものです。
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20190618-1.html


↑セージの葉のようなすこしべたつきのあるローズマリーの葉の質感はやはりセージなのかとおもったりします。

 

それはさておき、夏はどうしても副交感神経が優勢になりますし、暑すぎて食欲もないし、動くのもいや、という状態になりやすいですね。
クーラーの効いた部屋でネット映画を鑑賞する以外、なにもする気が起きない!という、そんな時におすすめなのがローズマリーの精油やローズマリーの芳香蒸留水です。
少し薬臭いけどフレッシュな香りが、「エンジンがかからない時」におすすめなのです。
香りの相性としても、また、作用的にも一緒に使うといいのがペパーミントの精油や芳香蒸留水です。
両方とも神経伝達物質であるドーパミンの分泌を促して、シャキッとさせてくれます。胃腸の働きもサポートしてくれます。
ローズマリーはオーデコロンを構成する精油でもあり、オーデコロンの主役となっている柑橘系の精油と香りの相性がいいです。ぜひお試しを!


↑ローズマリーは何年かすると枯れてしまうのですが、枯れてしまう前に、子孫を残してくれます。世代交代をした私の家のローズマリーです。

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イチジク

先日散歩をしていたら、イチジクの香りがしてきました。
ふと見ると、道のわきの畑にイチジクの木がありました。でも、イチジクの実は影も形もまだありません。
イチジクの木そのものから、イチジクの実のにおいが発せられているのです。
あと一カ月半もすると、田んぼの稲の穂が膨らみ始めますが、このころになると、田んぼからお米の香りがし始めます。
秋になるとキンモクセイが咲き始めますが、こちらも、まだ蕾も膨らみ始める前から香りがしてきます。

稲の穂

同じく、秋、桜の林に行くと桜餅の香りがしてきます(他の季節でも香りますが)。
落ち葉が濡れて分解されているからか、桜餅の甘い香りが林からしてきます。

ちなみに、桜餅にそっくりなにおいを持つ植物が他にあります。
それは、トンカビーンズと言う、中南米産の豆を乾燥させたものから溶剤抽出します。
トンカビーンズはアロマセラピーでは使用しませんが、フレグランス業界では非常に重要な香料です。
甘く、パウダリーで高級感があり、柑橘系の香りとよくなじみます。

ところで、自然の香りはいたるところで発せられているのですが、注意を向けないと気が付かないくらいのほのかなものも多いのです。
それをその場で楽しむのが私は好きですが、時々、この香りの精油が欲しい!と思うことがありますが、ないのです。
精油の収油率[抽出できる精油の割合]が低すぎて、コストと手間がかかりすぎて、誰も作らないのです。

アロマセラピーで使う精油は収油率が高いものが中心です。
たとえば、ラベンダーでは、植物の重量の0.7~0.85%です。
ところが、ローズではこれが、種類や抽出法にもよりますが0.01~0.05%前後です。
ですので、ラベンダーとローズの精油の価格が何倍も違うのも納得がいきますね。

芳香植物を水蒸気蒸留すると、主に植物の揮発性の高い香り成分(香りやすい成分)が濃縮されて、
かなりインパクトの強い香りに変身します。ある意味、不自然なくらいの香りの濃度ですので、
そのままよりも、再び薄めたほうが、より自然に近い香りになります。
たとえば、収油率が低いローズはしっかり薄めたほうがちょうどよい、心地よい香りになりますよ。

Category / アロマコラム

Author / Kazue Gill

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June 23 2021

初夏の香り

人があまりいないところを歩いていても、マスクをしていないとなんだか罪悪感を感じてしまうコロナ禍の日常。
本当は初夏のこの時期、マスクを外して歩くと色々な素晴らしい香りに出会えるのです。
先日奈良の新薬師寺を訪れたときに出会った香りが二つありました。

 

一つ目。
春日大社のうっそうとした森を抜け、新薬師寺に向って奈良らしい土塀の続く小さな道を歩いていた時、どこからともなく爽やかでフルーティなにおいがしてきました。
ふと見上げると土塀の向こうに一本の木があり、その木に薄黄色い小さな花がたくさんついていました。香りはそこからしてきているようです。
そして、もっと驚いたのは、音です。
それはその花の蜜を吸うために集まった無数の蜂のブーンブーンといううなるような音。
香りと音に圧倒され、しばし見上げていると、その家の二階の部屋のベランダに女性が出てこられたので、この木は何という木なのかをお聞きしました。

その木はケンポナシという木で、10年くらい前、お庭に新しい木を植えるときに、植木屋さんが、お宅だったらちょっと変わったものがいいよと薦めてくださったのがこの木だったそうです。
初めて聞くケンポナシという名前の木、早速ググって見ました。クロウメモドキ科の植物で、韓国伝統茶として飲まれ、二日酔い、肝臓に良い、などと書いてあります。

日本メディカルハーブ協会JAMHAのHPには『果実は球形の核果だが、果肉はほとんどない。
代わりに果柄が太く折れ曲がって肉質になり、冬に熟し、果実が黒色になり、果柄は梨の香りがする。
名前の由来:肥前(佐賀県、長崎県)地方では、ケンポコナシと呼ぶ。
(ケンポコナシってちょっと愛嬌のある名前!)
薬効など:利尿、解毒薬として二日酔い、嘔吐、口渇、大小便不利に用いる。
民間薬でこの果柄および果実を煎じてのむと酒毒を解し、悪酔、二日酔によく、嘔吐を止める作用があるといわれている。』 と書かれていました。

果柄とは果実の茎の部分のことで、確かに、その家の方も、「実はなりますが、実を食べずに、その実の茎の部分を食べると、かりんとうのような味がしておいしいのですよ」とおっしゃっていました。
さらに、ググってみると、ケンポナシ抽出物が、ロッテのフラボノガムに入っており、お酒を飲んだ時のアルコール臭を消す効果があると書いてあります。
とにかく、いつまでも香りを吸い込んでその場を離れがたい様子の私の姿に、家の方が少しお分けしましょうかと言ってくださり、花の咲いた枝を少し分けてくださいました。
やった~!!何の香りだとはピンポイントでは言えないのですが、それはまぎれもなく初夏の、涼しげでなぜだかとても懐かしい香りなのです。

そして、新薬師寺へ。境内へ入ったとたん、またまた芳香がしてきました。
こんどは入り口近くに植えられていた菩提樹の花が満開で、それが天の香りを放っていました。
菩提樹といえば、お釈迦様が悟りを得たときに座しておられた場所に生えていた木とされています。

ただ、新薬師寺にある菩提樹は、おそらくですが、それとは遠い親戚と言われている、
リンデン、学名Tilia europaea、というヨーロッパではよく街路樹になっている西洋菩提樹の方ではないかと思うのです。
なぜなら、気候的に、インドボダイジュは冬寒くなる日本では育たないらしいのです。
どちらにしても、西洋菩提樹の花の芳香はとてもリラックスする、鎮静作用が高い香りとして、アロマセラピーでも使われることがあります。

ただし、リンデンの場合、液体二酸化炭素や化学溶剤を使用して香りを抽出したエクストラクトやアブソリュートしかなく、厳密には精油ではないため、本来のメディカルアロマセラピーでは用いません。でも、香りを楽しむにはとてもおすすめの香りです。
奈良で出会った二つの香りは、夏の初めの記憶の香りとして私の海馬のどこかに確かにしまわれました。

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