たくましく生きるとは
先日、自然分娩で有名な吉村医院で5年間婦長として勤務した岡野眞規代さんの講演を聞きに行ってきました。その中で人間社会そのものを変えてしまう現代医療、西洋医学の問題点が浮き彫りにされていました。
簡単にいうと、人間が持つ自然の力が今の医療システムの中でどんどん奪われていき、人間は医療に頼らなければ子供も産めない、健康にもなれない、安全に死ねない、と国民が思い込まされるような仕組みが出来上がってしまっているということです。
日本で西洋医学が普及しはじめたのはたかだか100年以内のことです。でも、それまでも日本人は1000年、2000年、3000年の昔から途絶えることなく生きながらえてきました。
何かあるとすぐに抗生物質を与え、インフルエンザが流行れば、タミフルやワクチンが注射され、清潔にしましょうと、そこいらじゅう殺菌することで、人間の持っている免疫力が鍛えられる機会が奪われてしまっています。その一方で耐性菌をドンドン作り出していっています。私が子供の頃には、インフルエンザの薬もなかったです。 かといって、そういうもので知っている人が死んだという話もありませんでした。辛かったら解熱剤でも飲んで寝ていれば、自然に経過し、治ってしまっていました。
妊婦さんは家で子供を産んでいましたし、そういえば、イギリス人の私の夫でさえも、病院ではなく家で生まれたと言っていました。昔は50人に一人だった帝王切開が、いまや6人に一人が帝王切開になってしまったというのはなぜでしょう?
生活が便利になってお母さんの足腰が弱ってきたから、というのが一つ、もう一つは病院の都合がいいから、待ちたくないから、何かあったときに訴えられたくないから、という理由です。
吉村医院の院長は数十年、自然分娩をやってきて訴えらたことはありません。院長と妊婦さんの間には心が通うコミュニケーションがあり、それが信頼を築いていったからです。
また、お母さんと赤ちゃんは、本当は生まれた瞬間からずっと一緒にいることで、心も身体も最高の元気な子供に育つために必要なホルモンが出てきたり、神経の発達、おこるべき身体の変化が起きるようになっているのにもかかわらず、病院ではいきなり引き離されてしまうのです。赤ちゃんは暗い子宮の中から引っ張り出されて、こうこうとまぶしい電気が付いた分娩室の光のせいで目を開けることも出来ず、母親の心臓の音も聞こえなくなって恐怖で泣き続けます。この時のストレスホルモンがどれだけ赤ちゃんの脳に影響を与えていることか。自然分娩では暗い部屋で産むので、赤ちゃんはすぐにぱっちりと目を開け、お母さんの身体の上に乗せられるとあっという間に泣き止むのだそうです。
一方で、人が死ぬ瞬間、一番その人の近くにいるのは家族ではなく、医療スタッフであることもしばしばです。愛する人がこの世にやって来る瞬間とこの世から去る瞬間、当事者たちは無力になり、代わりに他人が支配するという社会はどう考えても、非常におかしいと思います。医療費が増え続けているのも、そこに理由があるのではないでしょうか?
どちらにしても、運動と正しい食事、スキンシップと愛がないと健康からも、幸せからも遠ざかっていくのは間違いないと思います。
香りを創る
昨年、AEAJ認定アロマブレンドデザイナー資格対応講座というコースがJEAでスタートしました。
私もaroma’sの化粧品の精油ブランド、インナーバランス、エナジーチャージ、フェアリーブーケの3つのブレンドを創る中で自然と香りを創る楽しさも知っていましたので、このような講座ができたことはよかったと思っています。
単に香りを創るといっても、香りのテーマ以外にも、すぐに使うものと何ヶ月先まで使うもの、皮膚に使うものとそうでないもの、TPOなどに合わせて様々なことを考える必要があり、そのようなことも計算に入れながら香りを考えるのは楽しいものです。
香り作りは絵を描くのと似ていて、まさにアートだと思います。
ちなみに「マッサージはアートである」と私の恩師のクレア・マックスウェル・ハドソン先生が仰った言葉も。何年たっても真実だなと感じます。
「ゼラニウムとムスクの香りを混ぜると石鹸の香りができる」と、ブレンドデザイナーのインストラクター講習会のテキストにメモがあったのですが、ムスクはジャコウジカの腹部の香嚢という腺からの分泌物で、そう簡単には手に入りません。
しかし、植物界にそれとよく似た香りを持つアンブレットシード(和名:ニオイトロロアオイ)というものがあり、私はそれを何年も昔にある方からもらっていたのでした。
そこでこのアンブレットシードとゼラニウムで本当に石鹸の香りがでいるのか試してみました。
結果は、そういわれれば、そうかも、という程度でした。
ブレンド比率などはわかっていなかったので、正しい比率で作れば、もっと石鹸の香りができたかも。
ちなみに、日本では合成香料が出来るまでは、石鹸の香りづけにクロモジを使っていたということを教えてくださったのは香りのデザイン研究所の吉武利文先生です。
ところでアンブレットシードを色々調べていったら、衝撃の情報が見つかりました。
それは、メナードが行った研究で、女性がアンブレットシードの香りを嗅ぐと、唾液中のエストロゲン濃度が嗅ぐ前と比べて1.2倍近く上昇していたのです!
さらに、ローズ、ネロリ、バイオレットなどの香りを嗅ぐことで、オキシトシンの分泌が1.8倍に増加し、さらにそれが肌の表皮の細胞と真皮の細胞に働きかけて、肌の幹細胞を1.3倍に活性化させることもメナードの実験で確認されました。
ということは、これらの香りを嗅ぐだけで肌の生まれ変わりが活発になるということです。
嗅ぐだけで美しくなれる、aroma’sでもそんな香る化粧品を創っていきたいですね。
明けましておめでとうございます。
新しい年が明けました。昨年を振り返りつつ、今年の抱負を述べたいと思います。
昨年、私の心に残ったイベントは、6月のロンドン臨床マッサージ研修ツアーと11月の大阪でのカンファレンスでした。
いずれもIFPA日本支部としての開催でしたが、この2つのイベントでは、参加してくださった方々の間で新しいつながりや気付き、発見が生まれ、自分の進むべき道、そして自然療法が社会に担う役割の大きな可能性を見出すことができ、それが皆さんが「参加して良かった!」と喜んでくださった最大の理由のように思います。
カンファレンスでは、田村祐樹先生(緩和ケア医師/サイモントン療法インストラクター)の素晴らしいお話の中で、いつにも増して心に響いた言葉がありました。それは、「希望」です。希望=治るではありません。希望は癒しにつながります。
治ることと癒されること、それは似ているようで違う意味なのです。そして、患者自身が希望を持つことはもちろんなのですが、同時に医療スタッフや家族みんなが心から希望を持って患者に接することが、その方の自己治癒力を高めることになる、というものでした。
ですから、私も希望を持って今年も頑張りたいと思います。
今年とても楽しみな最初のイベントは、2017年3月4日(土)の「ホリスティックな1日」です。
長年(20年?)の日本ホリスティック医学協会会員である私が、初めて協会の講座として開催させていただく「ホリスティック塾」があります。
人を丸ごと、社会丸ごと、環境丸ごと、地球丸ごとに捉えるアプローチや療法などをご紹介して、ホリスティックなセラピスト(ホリスティックピープル)になっていただく講座です。
それが午前中で、午後からは、オキシトシンについてウィスコンシン大学で研究をされてきた高橋徳先生による講演「オキシトシンと愛」です。
アロマテラピートリートメントでオキシトシンがどのように分泌されるかなどの臨床研究もされていらっしゃいますので、とても楽しみです。
講演の後は、とってもホリスティックな高橋先生と私とのトークセッションで、高橋先生の引き出しを次々と開けていきたいと思っていますので、ぜひいらしてくださいね。
では、皆様にとっても希望とワクワク満載の 一年になりますように願っております!
JEA校長 ギル 佳津江
10年目のアロエ収穫
10年くらい前に山のゴミ拾いボランティアでレスキューしてきたキダチアロエの鉢をずっと家で育ててきました。
今年は育ちが良すぎて、刈りこむ必要が出てきました。
捨てるのはもったいないので、色々調べて使うことにしました。アロエの汁をそのまま乾燥して白くなった‘かかと’に塗ったら、今まで何を使っても改善しなかったのが見違えるようになりました。
さすがサボテンの仲間、どんな過酷な暑さでも、取り込んだ水分は絶対逃さないという、その妥協のない性質はドライスキンの方には朗報です。刈り取った量がとても多かったので、これを絞ったものを保存することにしました。
アロエを使ったレシピを紹介しますので、みなさんもぜひお試しください。
アロエレシピ
1.アロエを洗う。
2.アロエのとげを切り取って、1cmの厚みに切り、シンクバッグに入れます。
3.その袋をギューギューと絞り、汁を出します。もう出ないかなと思っても意外にまだまだ出てきます。
4.保存がきくように、無水エタノールをほんの少し入れます。この状態でボトルに小分けします。
*冷凍保存ならエタノールは入れなくてもいいと思います。
5.1本だけ残してあとは冷凍に。
残った1本はネロリの芳香蒸留水で希釈して、お顔にも身体にも使えるようにしました。
髪の毛につけてもいいですよ。ドライになってしまった髪がしっとりします。
Dr.ボッダー式マニュアル・リンパドレナージ
Dr.ボッダー式マニュアル・リンパドレナージのコースを初めて開催したのは、ジャパン・エコール・デ・アロマテラピー(JEA)が設立された年の1996年でした。
ヨーロッパで1930年代にボッダー博士が開発したこの素晴らしい療法は、ヨーロッパの医学界に認めてもらうには数十年の月日が必要でした。
リンパドレナージの正式名称は、Manual Lymph Drainageで略してMLDと呼ばれます。
今年から、日本でもこのMLDは厚生労働省によって、ガン治療後の続発性リンパ浮腫に対し、保険診療で提供できるようになりました。
JEAでは、医療従事者の方々のニーズに応えるため、去る9月17日から9日間、ボッダーアカデミーの校長であり、リンパ浮腫クリニックの院長であるアンドレアス・ウィットリンガー先生を招聘して、セラピー1の上位資格であるセラピー2&3を開催しました。
リンパ浮腫の鑑別、診断方法、浮腫の計測、圧迫療法の方法、合併症、毎日新しい手技と症例を用いての治療プランの考え方などを次々と学ぶ、医療従事者限定のハードなコース内容です。
私自身も2003年にオーストリアで受講しました。
ボッダー式MLDの一番の特徴は、適用が多いことです。静脈性浮腫、皮膚疾患、整形外科領域、自律神経失調、皮膚潰傷や褥瘡、火傷などの治療促進、上気道の疾患、ダウン症の子供では、頻繁に引いていた風邪をほとんど引かなくなった、など、様々な疾患に効果を上げています。
巷に氾濫するリンパマッサージとは一線を画すこの素晴らしい療法を伝えていくことは私にとって非常にやりがいのある仕事です。科学的にも臨床的にもエビデンスがしっかりある上に、この羽のようなタッチが私たちの心に深く響くホリスティックな療法でもあるからです。
JEAでは、MLDセラピストカフェというフォーラムがあり、JEAでMLDを学んでくださった皆様が集まり、症例を共有しあったり、悩み事を相談したり、情報交換をしています。
MLDに興味のある方はホームページに症例なども掲載していますのでご覧ください。
英国最大級の病院で学ぶ 臨床アロママッサージ研修ツアー
2016年6月2日(木)〜8日(水)、臨床アロママッサージ研修ツアーが
イギリス・ロンドンで開催されました。
講師は英国最大級の「ロイヤル・フリー病院」補完療法コーディネーターのキース・ハント先生。
参加者は30名で、多くのJEA生さんも参加されました。
キース・ハント先生は、24年間、ロイヤル・フリー病院で補完療法チームリーダーとして勤め、
その仕事の功績として、皇室から2年前に勲章をもらったセラピストです。
院内では、外科、内科、産婦人科、腫瘍科、緩和ケア・集中治療など、全ての病棟において
アロマトリートメントやリフレクソロジーなどの補完療法サービスを行っていらっしゃいます。
医療現場での3日間の研修を通じてキース先生をより深く理解できました。
そして、まさに勲章に値する方だと改めて思いました。
キース先生の口癖は、
「セラピストは病棟の中では常に笑顔で!
患者さんを施術しているときは常に患者さんの目を見て(アイコンタクト)!
そしてマッサージの時の姿勢!」でした。
マッサージの技術を身に付け、あらゆる気遣いをマスターしたうえで、一番大事にしていただきたいことがこの3つなのです。
昨年は33000回の施術を、27名でやり遂げたのですが、キース先生のすべての人に対する優しさと、仕事に対する責任感が、
医師や看護師の信頼を得て、年間33000回の患者さんへのマッサージを可能にしているのですね。
一回のマッサージは15分と短いけれど、担当医からマッサージするように指示のあった患者さんは、
入院中毎日マッサージを受けることができます。もちろん本人が希望しなければ、マッサージは行いません。
化学療法の点滴を受けながらマッサージを受けたり、隔離中の患者さんにもマッサージします。
マッサージをするように指示を出す病院の医師も、いかにタッチが重要であるかを理解しているということが
本当に素晴らしいですね。
また、日曜日にもかかわらず、キース先生にいつもマッサージを受けている患者さんが協力してくださり、
病院も私たちに病室や処置室を使わせてくださいました。
これも、ひとえに、キース先生をリーダーとする補完療法チームに対する病院からの絶大な信頼の証であり、
常日頃チームの愛情いっぱいの施術を受けている患者さんからの恩返しでもあるのです。
キース先生をはじめ、チームのセラピストのみなさんやご協力くださった患者さん、
また通訳をしてくださった現地在住の日本人ボランティアの方に、感謝してもしきれません。
とても貴重な時間を過ごすことができました。
そんなキース先生からのビデオメッセージを、11月のIFPAジャパンカンファレンスでお届けいたします。
キース先生の人柄や、セラピストとしての姿勢など貴重なメッセージが聞ける機会です。ぜひ、ご参加ください。
お申込みは こちら から。
8月末までだったお得な早割期間が9月30日までに延長されましたので、ぜひ今月中にお申込みください。
パリの調剤薬局でも使用されているモンサンミッシェル精油
医療用の精油って?
モンサンミッシェルアロマラボラトリーで使われているモンサンミッシェルの精油と、日本で売られている他の精油との違いは何でしょうか?
モンサンミッシェルの精油は、パリで最も大きい調剤薬局の一つで、毎日処方薬に使用されています。
フランスでは薬の材料として精油が使用されていて、この調剤薬局でも、一日あたり1,200件から1,500件の処方薬のうち、なんと15~20%が精油を使ったものです。
日本で、薬として精油が使われることはありませんが、薬として使えるだけの品質であるということが、大きな違いと言えます。
成分分析された100%天然精油
なぜ、モンサンミッシェルの精油が薬局で薬の材料となることができているのでしょうか?
それは、精油の成分分析をきちんと行い、100%天然であるだけではなく、長年のフランスの植物療法の経験上、治療効果のある成分が一定量含まれている、そして、毒性の高い成分は一定量以下であることが確認された精油であり、何十年も薬として使用されてきた実績があるからなのです。
たまに、「飲める精油」として、日本で外国産の精油を販売している会社もありますが、それらの精油が、モンサンミッシェルの精油のようにその国の薬事法で認められるほどの実績や信頼があるかはわかりません。
また、食品添加物だから飲めると謳っている精油に関してもよく考えてみましょう。
食品添加物とは食品会社が微量、味や香りを良くするために食品に添加するためのものであり、それを原液で飲んだり、健康の為や病気の治療用として使うことを前提としていません。
日本では精油は雑貨扱いですから、基本的に飲めませんが、皮膚からの吸収や、香りを楽しむだけでも、身体に影響があります。
購入の際は、値段やパッケージ、会社の宣伝するイメージなどで判断するのではなく、精油の素性や、安全確認、信頼に値する実績や、それを証明できる成分分析表などがあるかどうかで判断されることをお勧めします。
良い精油を使ってこそ、アロマテラピーなのです。
「セラピストプリンシプル」
ちょうど今、嵯峨野は紅葉も真っ盛り。
冬ごもりの前の燃えるような色の饗宴ですが、この美しい景色を再び見ることができるのは、また一年先です。心ゆくまで楽しんでおきたいですね。
東京生まれの私が、それまで住んでいたロンドンから、京都の嵯峨野に移り住んだのは20年前のことです。
生まれて初めての土地、嵯峨野に住みながら、仕事やプライベートで様々な経験を通じて、私はセラピストとして成長させてもらいました。
その中で形作られていったセラピストとしての心構えが、手のひらに収まる小さな小さな本の中に詰まっています。モンサンミッシェルサロンのセラピストは全員、この小さな本を携えています。
タイトルの「セラピストプリンシプル」というのはセラピストの信条、心構えという意味です。
1ヶ月の日数と同じ、31の心構えを、朝のミーティングで毎日ひとつずつシェアしてからモンサンミッシェルのセラピスト達の1日が始まります。
昨日よりも、今日、今日よりも明日、さらにお客様に喜ばれる仕事ができるように、セラピストとして成長できる為に、役立つ言葉がこの中に書かれています。
生まれて初めて経験する今日という日、
そして、二度とやってこない今日という日、
今日、出会う人、お客様、経験すること、全て一期一会、大切に、丁寧に向かい合いたいです。
来年の今頃、この紅葉を見る来年の私はどんな成長をし、どんな気持ちでいるのでしょう?
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