安全な精油の取扱いについて
アロマテラピーという言葉が日本で聞かれるようになってから四半世紀が過ぎましたが、近年、精油の扱いについて、精油学にも、人間の生理学や病理学についても、毒性学についても最低限必要な知識さえ持ち合わせていない人たちが、危ない精油を危ない方法で用い始めています。
それは、一部の、倫理を欠いた企業の無責任で巧妙な商法や、嘘と真実を見分けることが難しいネット上の情報をうのみにしてしまう消費者側にも原因があります。
そんな中、先日、東京でアロマテラピー界の重鎮、ロバート・ティスランド氏による「実践版 精油の安全性ガイド」の講演会に参加してきました。大変参考になるものでしたので、重要な部分のみになりますが、ここで共有したいと思います。
同じ精油を同じ方法で使用しても、使用する人の年齢や体質、既往症(特に皮膚疾患)、健康状態や精神状態、使用の方法や使用濃度によっても、刺激を感じたりそうでなかったりします。
精油は天然由来ですが100倍以上に濃縮されているので、自然の状態とは違う物質に変化しています。それも含め、「天然由来=安全」ではないのです。
たとえば、病院で処方される薬、ドラッグストアに売っている薬のどれもが、投与対象者によって禁忌も異なり、適正な投与方法や投与量、他の薬との相互作用などの注意点を守って使用しなければ取り返しのつかないことになる可能性があります。
精油もこの点については薬と全く同じなのです。なぜならば、投与された精油は体内に吸収され、肝臓で解毒されるという点で薬と同じだからなのです。
その理屈を理解していないのに精油を薬のように使うことは危険ですね。
薬は、「1日何回、何錠飲んでください、何日以上飲んでも効果が表れない時は使用を中止してください。」という指示が必ずありますが、それは少なすぎれば薬理効果が発揮されない、多すぎれば有害になるからなのです。
効果が発揮され、かつ、副作用が出ない、ちょうどよい量のことを「セラピューティック・ウィンドウ」と呼びます。
それを下回る量のことを「無作用ゾーン」と呼びます。つまり、効果が出ない量になります。逆に、セラピューティック・ウィンドウより多い量になると、有害反応が現れてくる「有害作用ゾーン」と呼びます。
また、それらを分ける境界線は使用する精油や投与対象者によって異なります。
精油も、このセラピューティック・ウィンドウの領域で使用しなければなりません。
また、精油ごとに毒性は異なり、その毒性の強弱が「危険性」の強弱となります。一方、その精油が有害反応を起こすかどうかの確率を「リスク」と言います。その確率は、
①危険性の強弱
②曝露の程度(濃度・使用量・使用頻度に依存する)
③使用する対象者や対象グループ
という3つの要素によって判断されます。
でも、正しく使用すれば精油を怖がる必要は全くありません。
それは、サンリツやソレイユ、スクールで20年以上にわたって何十万人という人たちに施術、使用してきた中で、精油による有害反応はほとんどなかったということによって証明されています。
ただ、誰に対しても、どのような使用方法をしても100%安全な精油は存在しませんし、精油アレルギーも存在するのは確かですので、コンサルテーションの際、危険信号を見逃さず、お客様のお話を聞く姿勢を持ってください。
また、誰に対しても、どのような使用方法であっても、100%安全な精油など存在しない、ということを頭の隅に置きながら精油を楽しく、効果的に、安全に使ってください。
私の夫は手が非常に乾燥する体質ですので、ハンドクリームが欠かせません。
手作りするのは面倒なので、出来合いのものを買おうと思うのですが、お値段や中に含まれるたくさんの化学物質名を見ると(私がプロデュースしたaroma’sのハンドクリームは別です)、やっぱり手作りに勝るものはないと、今でも夫用のハンドクリームも水虫予防のジェルも自分で作っています。
シアバター、蜜蝋、植物油、芳香蒸留水、精油だけのハンドクリームです。
こころのデトックス
ゴールデンウィークは久しぶりに10日間の休みをいただいて、ヒマラヤの国、ネパールにショートトレッキングに行ってきました。
ハービスプラザの3階にある「風の旅行社」の企画ツアーで、参加したのは私と夫、そして、関西から2名、千葉県から1名の5名で、ネパール人のガイド1名、サブガイド2名、ポーター3名の11名のグループです。
一日目は首都カトマンズからバンで西へ6時間、そのあと、ベシサハールでジープに乗り換えて未舗装のガタガタ道をダラパニ(1963m)まで6時間揺られていきました。遠くから見たら断崖絶壁にちょっとついた溝のような道もあり、そんな道の途中、私たちの道のさらに上に道を作る工事のため、ダイナマイトで岩を吹き飛ばしているところで少し足止めされました。
しばらくして大きな爆発音の後、直径2メートルくらいの岩が私たちの目の前を通って200メートルくらい下の川に落ちていくのを目にしました。すでにこの時点でスリル満点です。
30年近く昔、私と夫でこのベシサハールから、ポーターもガイドもつけずに徒歩で北に向かい、アンナプルナの北側を回ってくる17日間のトレッキングに行きましたが、そのとき通った5400メートルのトロン峠で、最近20名ほどが命を落としたとの話を聞き、私たちはあの時ラッキーだったと思いました。
今回は、ダラパニから毎日6時間から7時間の歩行を5日間行う、それほど危険ではない中級者向けのトレッキングで、シャクナゲの咲き乱れる5月の爽やかな山道を歩きました。ただ、標高が二日目にしてカルツェ(2700m)から一気に3710mのビムタンに向かい、その翌日にはマナスルを一望するポンカルタール湖4100mまで行くため、高山病の心配がありました。前のトレッキングから30歳近くも齢を取っているわけですから、用心して高山病予防の薬を飲み、血中酸素濃度と脈拍も毎日朝晩、ガイドの方が計測してくださり、おかげで高山病になることもなく、無事、トレッキングを楽しむことができました。ただ、高山病予防薬は、手足にしびれを感じる、頻尿になる、飲み終わってから後はいつもより浮腫む感じがあり、できればもう二度と飲みたくないと思いました。
美しいヒマラヤの雪山の景色が素晴らしかったのは当然でしたが、4日間ほどは電話もネットも通じない山奥で、お風呂にも入れない生活でしたが、これにより、こころのデトックスができました。皆様もぜひ、一度ネパールの雪山を見に行ってください。カトマンズではたまたま、チベタンシンギングボールの専門店を見つけ、一つ買うことができたのも良かったです。
美容からウェルネスへのシフト
あけましておめでとうございます。
平素のご厚情に深謝し、皆様のご健康とご繁栄を心からお祈り申し上げます。
ギル 佳津江
ウェルネス、という言葉をご存知でしょうか?
何歳になっても生き生きとして、元気で美しい身体を維持する、それが「ウェルネス」です。近年、運動・食事・メンタルヘルスの質と、病気や怪我の予防、若さ、脳の働きとの関連性が明らかにされてきています。たとえ忙しいストレスフルな環境にあっても、毎日を爽快な気分で過ごし、自分の夢を実現するために欠かせない心身のエネルギーに満ちた身体を持つことは可能です。
今、ウェルネスを習慣にしている人々が増えています。とくに、重要な仕事をしている世界のトップクラスの人々にとって、自分の健康管理は重要ですので、ウェルネスを実践しています。そのような方々が日本に訪れる際にはどのような宿泊施設に泊まるのでしょうか?それは彼らの健康習慣を続けられる宿泊施設です。その受け皿となっているのが、トップクラスのホテルスパです。一泊数万円以上するような高級ホテルにはスパ施設が必ずあります。
スパという言葉は、本来、温泉や鉱泉のことを指し、古代からハイドロセラピーやマッサージを受ける治療的な場所でした。日本のおばあちゃんたちが行く湯治場もその意味では本来のスパなのです。ただ、それが、次第にエステサロンのような場所を指すようになって、意味が変わってしまいました。
(ハイドロとは水のことです)
このような中で、今はウェルネス習慣のあるトップクラスのお客様の為のジムやスイミングプール、トリートメントサロンを総合的にスパとして位置付けるホテルでないと一流のお客様に選んでいただけない傾向が出てきました。
ところで、一流のお客様が利用されるスパで働くセラピストとは、どんな人たちなのでしょうか?
・健康と美についての知識が豊富
・様々な療法の高度な技術を持っている
・一流の接客マナーでおもてなしができる
・英会話ができる
そうです、スパセラピストは美と健康のエキスパートであり、ホスピタリティあふれるマナー、お客様の健康の為に的確なアドバイスもできるコミュニケーション能力も問われます。だいぶ、ハードルが高い感じですね。そのため、そのような一流ホテルで必要とされるスパセラピストが今、とても不足しているのです。
JEA の母体であるサンリツは国内で一流ホテルのスパを運営しており、毎年、それらのスパのどこかがスパアワードでトップ10に入賞しています。
2018年はスイス・パーフェクションスパKIOI /ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町がトップ10に選ばれました。そして、この夏、沖縄にオープンする「ハレクラニ」のスパ運営を委託されました。
ハレクラニはハワイにある高級ホテルで、ウェルネスを求めるお客様に対応した高級ホテルなのです。
サンリツではこのホテルを始め、今後次々とオープンする国内の一流ホテルで勤務できるスパセラピストの採用と育成を行っています。JEA で培った技術と知識を生かして、あなたもスパセラピストを目指しませんか?
>アロマを学ぶなら ジャパン・エコール・デ・アロマテラピー
IFPA機関誌「インエッセンス」に掲載
国際プロフェッショナルアロマセラピスト連盟IFPAが日本の会員のみなさんに配布している
機関誌「インエッセンス」に「日本におけるクリニカルアロマセラピーについて」の記事が掲載されました。
また、IFPAアロマセラピストによる症例研究発表会も来年3月3日に開催されます。
会員以外もご参会いただけますので、アロマテラピーに関心のある方はぜひお越しください。
緩和ケア病棟でのアロマセラピー
命の尊厳
今から15年前、私は高槻日赤病院の緩和ケア病棟でのアロマセラピートリートメントを始めました。当時、ジャパン・エコール・デ・アロマテラピーに学びに来てくださっていた看護師さんが勤務していた病棟でした。その看護師さんにご紹介をいただいたのです。それまで、単発で緩和ケアとしてのアロマセラピーを行うことはありましたが、定期的に病院を訪問して行うというのは初めてでした。この頃、まだセラピストサービスソレイユも正式には発足していませんでした。
訪問を始める前に、その時の病棟長の先生に面談した時のことを今でも覚えています。とても優しそうな先生で(実際優しい先生でした)、お話の内容はほとんど覚えていませんが、今でも強く印象に残っているのが、その時、先生がオルゴール療法に興味を持っていることをおっしゃっていたのと、先生が私に質問されたことでした。「患者さんが死にたいって言ったらギルさん、どう思われますか?」と質問されたのです。そういう言葉が出るくらいの辛さを患者さんが感じているということですが、実は、この何年かのちに、私の父がガン治療を受けていた病院で、母もガンであることを告げられた日、帰りのタクシーの中で母は「もう、死にたい」と言ったことがありました。それくらい、精神的に追い詰められるのです。この質問に対し、わたしは「患者さんには自分の命をどうしたいのか、自分で決めることが許されていいと思います。たとえそれが間違いであったとしても、間違うこともその方に許されるべき自由だと思います」というような内容のお返事をしました。先日、亡くなった女優の樹木希林さんの言葉として、『死ぬ時くらい好きにさせてよ』というのがありますが、そのような意味です。尊厳死については、正しいかどうかは別として、命について自分なりの軸を持っているかを先生はお知りになりたかったのかもしれません。
セラピストとしての死生観
緩和ケアの患者様たちは死を目の前にされている方々です。アロマセラピストがその方々のもとへ行き、弱った身体に直接触れてトリートメントをし、コミュニケーションが可能な方とは会話もする。病院として患者様の命を支え、心をケアし、治療をしている現場に、海のものとも山のものともわからない人間が、国家資格でもない、アロマセラピストという資格でやってきて、そういう行為をすることを許可する、というのは、常識で考えればかなり大胆であり、患者様に害が及ぶ危険もはらんでいることだとは思いませんか?
でも、それを許してくださったのがその時の病棟長でした。でも、きっと、完全に信用してくださるまでは一年くらい、様子を見られていたような気がします。
ボランティアとしてのネームカードをいただけたのが、一年くらいしてからでした。緩和ケア病棟の職員の皆さんは、何年も毎日のように看取りをされています。それにくらべ、そういう経験をしたことがない自分が、いきなりそんな現場に行って大丈夫なのか、心身の苦痛を持つ方々を前にして、取り乱さないでトリートメントができるか、不安を持ちながら施術初日を迎えたのを覚えています。
人間にとって、死とは必ずいつかやってくるもの、自分が愛する大事な人たちにも、そして自分にも。それがいつやってくるか、わかりません。突然やってくることもあります。
頭では理解できていても、感情的には普通の人間にとってはこのことを受け入れることは苦痛を伴うことです。お釈迦さまが、「生老病死」という人間の苦しみから逃れたくて修行を始めたくらいですから、とても辛いことなのです。
職業倫理
このところ、アロマセラピーの基礎とハンドマッサージだけをさっと学んで、いきなり困っている人の施術をしにボランティアに行く、という方が増えている気がします。私はここにとても疑問を感じます。たとえボランティアであっても、アロマセラピーの知識はもとより職業倫理や人間の心理のことなど、必要な事をきちんと学ばなければ、助けたいと思っている相手に逆に迷惑なことになったり、心を傷つけたりして、信用を失う可能性があるのです。それはアロマセラピストという職業の信頼性を落とすことなのです。英国のようにアロマセラピストが多く医療現場で活躍している海外では、医療や介護の現場にアロマセラピストが入るためには、かなり専門的な訓練を受けていなければ許可されません。日本でもそうしたプロセスが必要ではないでしょうか?
IFPA カンファレンス in エジンバラに参加して
6 月9 日、10 年ぶりくらいでイギリス本部主催のIFPAカンファレンスに出席してきました。
↑IFPA 会長のカブリエル・モージェイ先生と
今、英国でのアロマセラピー事情がどうなっているのかを聞いてきたい、ということと、前日の8日には認定校ミーティングもあり、外国人会員として英国人の次に一番多い日本人の立場を守りたい、という気持ちもありました。
開催されたのはエジンバラというスコットランドの古都です。
年に一回、エジンバラフェスティバルという、舞台芸術の祭典が開かれ、世界からたくさんのアーティストが集まります。
また、ハリーポッターが書かれた町でもあります。(行くまで知りませんでしたが・・・)
5 人のスピーカーのどなたも素晴らしい内容でしたが、特にクリニカルアロマセラピーを実践されている、エジンバラのWesternGeneral Hospital とRoyal Infirmary という二つの病院で補完療法コーディネーターとして長年貢献してきたAngela Secretanさんの活動の紹介はとても良いものでした。
アンジェラさんの活動は大きく3 つ
①施術の提供(病棟だけではなく、外来がん患者の宿泊施設、 在宅でも)
②ガン患者さんのQOLを上げる製品の開発販売や在宅への人 材派遣を業務とする会社Lavender Touch の設立。
③広くアロマセラピーのサービスを提供するための人材育成やリサーチを行うシステムを作られました。一人の人が、この3 つを同時に進行させるというのは容易ではありません。たいがい、そのうちのどれか1 つ、よくて2 つしかできないでしょう。ガン治療の現場で患者さんが経験する様々な苦痛を知り尽くしたうえで、その方々が必要としているサポートを様々な側面から行っておられました。
①では病棟内で施術するだけではなく、放射線療法を受けるため、連続で何日も通院しなければならない場合、遠方からの患者さんは病院が用意した宿泊施設に泊まりますが、たった一人で心細い気持ちの患者さんを支えるためにアロマセラピーの施術がとても助けになるのです。訪問アロマセラピーも、田舎に住むガン患者さんへの派遣のシステムを構築されています。
②ではアロマスプレー、ディフューザー、アロマスティックといった製品以外にも、緩和ケアの患者さんには匂いの対策を行うブレンドを提供したり、また、ガン治療の副作用として発汗がひどい患者さん用に、竹の繊維で作ったパジャマを開発、販売しています。汗を良く吸って、しかも、乾きが早く、身体が冷えないため、着替える必要がない、といった製品です。
③では、ガン患者への専門アロマセラピスト育成のために得た研修費を、セラピストの実地研修を行って病棟で患者さんに無料で提供するための資金に充て、その施術データを調査や研究に活用し、アロマセラピーの有用性を証明していき、それを聞いた人たちがまた、専門的研修を受けにくる、という循環を生み出しています。とっても素晴らしいですね!日本でもこれに見習いたいと思いました。
↑ラベンダータッチの活動を紹介するセクレタン先生
↑香りそのものの効果の重要性を説くリヤノンルイス先生
↑英国の病院で使用されている精油の吸入器はとても人気があるそうです
今回、エジンバラに英国人の親戚がたまたま住んでいたことで、彼女の家に泊めてもらい、半日市内観光、会場や駅への送り迎えまでしてもらって、とっても助かりました!お土産の心配までしてくださり、買ってきてくれたりと。心からのおもてなしに感謝です。
↑ロイヤルボタニックガーデンの中の素敵な建物
また、今回、IFPA の熱心な理事たちとも顔を合わせて意見交換し、具体的なことを相談できたことも収穫でした。来年3月3日にハービスプラザで開催するIFPA会員症例研究報告会にも、本部からの資金援助をいただけることになりました。IFPA 会員の皆様、症例や、ご自身の活動のデータなど、共有してくださいませんか?
7 月からお申し込みの募集を開始します。「こんな内容はエントリーできるのですか?」など、ご質問はいつでもお受けしていますので、ぜひ、お問い合わせください。
<長崎県佐世保市>ネロリの蒸留体験
今年のゴールデンウィークは、スクールのスタッフや卒業生さんと一緒に九州の長崎県佐世保市で無農薬、有機栽培で柑橘栽培をされておられる農家の「Natural Boomgaard/ナチュラルブームガード」さんを訪ねました。
ちょうどこの時期は、ネロリの花が満開です。
▼ダイダイの畑でネロリの花を摘みます。
▼満開の時でしたので、たくさんの花が摘めました。
ネロリはビターオレンジ(Neroli bigarade)、日本ではダイダイと呼ばれるミカン科の植物の花びらを蒸留して得られる精油で、目的はネロリの花を摘んで、水蒸気蒸留して頂くというものです。
ネロリはその昔、イタリアの貴族が着用していた革の手袋に良い香りをつけて、臭みをマスキングする目的で用いらていたことは有名です。また、オーデコロンにも使用されていました。
ローズやジャスミンとならび、本当に幸せな気持ちにしてくれる香りのする素晴らしい精油ですが、とても高価な精油でもあります。精油は高価ですが、精油を得る際に生産される副産物の芳香蒸留水(フローラル・ウォーター)はお求めやすい価格で、化粧水として洗顔の後にふんだんにお顔に使うことが出来、そのたびに幸せな気持ちになれます!
無農薬、有機栽培で育てられたネロリの芳香蒸留水はとってもいい香りでした。
お花を摘んだあとは、とっても美味しいベジタリアンお弁当を畑でいただき、そのあと、蒸留をしていただくところへ移動です。
▼蒸留器にネロリの花を入れます。
▼オーナーの山辺さんが、ガラスの蒸留器でデモンストレーション蒸留をしてくださいます。
柑橘類の精油は、心を明るくする効果がありますので、心が落ち込んでいる時、暗い気持ちになっている時、ウツっぽくなっている時におすすめな一方、もともとネアカな方にも喜ばれる香りでもあります。
▼ネロリの精油成分が産生されている油胞が、光に透けて見えます。
もちろん、ネロリだけでも素晴らしい香りですが、私はグレープフルーツの精油とブレンドして使うのが好きです。このコンビネーションは私にとってまさに「天の香り」です。
嗅ぐだけでいい気分になれて、その影響で身体の調子にもよい変化が起きる、これがアロマセラピーの醍醐味ですね。
医療現場でアロマセラピーを実践するために
ジャパン・エコール・デ・アロマテラピー(JEA)のセラピスト派遣事業部(セラピストサービス ソレイユ®)は毎年、7,000回を越える施術を様々な医療や福祉の現場で行っています。このようなことが可能なアロマセラピースクールは日本には他にありません。もしかすると、世界にもないかもしれません。この活動を14年間に渡って維持、拡大できてきたのはなぜでしょうか?
それは、ソレイユのメンバーがプロ意識を持って行動しているからなのです。最近、アロマセラピーもマッサージも全く学んでいない方がハンドマッサージの方法だけ単発の講座で学んで即、病院などでボランティアとして施術を始めてしまう、というような話が耳に入ってきます。この国ではアロマセラピーは補完療法として医療現場で施行されていますが、病を持った方々、命にかかわる状態の方々の治療が行われている現場で自分が何をしているのかという自覚をそのような講座を受けただけの方が持っておられるのか、大変疑問です。
ボランティアだからそういう自覚が緩くていいという考えで現場に入ってしまわれると、アロマセラピー自体がこれからも永遠にボランティアでするもの、という認識をセラピストも医療施設側も持ち続けてしまいます。それはアロマセラピーにとって決して良いことではありません。
アロマセラピーにしろ、リフレクソロジーにしろ、その他の補完療法にしろ、医療施設でそういったものを実践するために学ぶべきこセラピストサービス ソレイユ®とはどれも一緒です。それらを図にまとめたものがこちらです。
見出しだけではわかりにくいものもありますが、機会があれば解説したいと思います。
JEAカリキュラムのモジュール1~3(特に3)、田村祐樹先生のサイモントン療法、黒丸尊治先生のホリスティック・コミュニケーションで学ぶことの中にちょっとずつ、織り込まれていることではありますが。こういうことは、精油の新たな薬理効果や使用方法なんかを学ぶことに比べるととても地味なことに思えますが、クリニカルアロマセラピーを医療施設で実践するには、むしろ、こういったことの重要性がはるかに高いということをJEAの生徒の皆様には知っておいていただきたいです。
シュワルツコフ・プロフェッショナル「Oil Ultime」
ドイツの多国籍企業ヘンケル社から突然メールでコンタクトがあったのは、2017年夏の終わり頃でした。
それはヘンケル社の事業部の一つ、シュワルツコフ・プロフェッショナルからの仕事のオファーでした。
シュワルツコフ・プロフェッショナルは1903年に薬剤師のハンス・シュワルツコフが、ドイツで初めてのパウダーシャンプーを発売して以来、100年以上の歴史を持ち世界中の美容室で評価され、数多くのトップヘアスタイリストに愛用されているヘア・コスメティックブランド。
そのブランドが2018年1月15日に日本以外の世界で発売を予定していたのが「Oil Ultime」でした。
コンセプトは「身体の中と外から美しくなる、アロマセラピー効果」。
この商品はヘアサロン向けのもので、私はシュワルツコフ・プロフェッショナルを使用している世界の美容師に向けて、Oil Ultimeを使うことによるアロマセラピーの効果や、活用法を提案するアロマセラピー・アンバサダーのお役目をいただいたのでした。
日本中のアロマセラピストの中から私を選んでいただいたのはとても光栄でしたが、
「西洋で生まれたアロマセラピーなのになぜ日本人?」と思いました。
私はストレートにその疑問を担当者にぶつけてみたのですが、「心身一如」のアプローチは彼らにとっては伝統的には「東洋的」だとのことでした。なるほど!
去年の11月にドイツのハンブルグにデモ動画の撮影のために行きました。その動画がこれです。
動画の中には出てこないのですが、サロンへの使用マニュアルには、私が書いたアロマセラピーの作用機序や、ヘッド、ハンドマッサージの効果などが掲載されています。
シュワルツコフ・プロフェッショナルが私を選んでくれた理由は、私がホームページなどで伝えている、どんなときにも心のケアが大切であるという考えが彼らのニーズにマッチしたからではなかったかと思います。人間は心の生き物です。
心がすべてを変える、と言っても過言ではない気がします。
心に栄養を与えることが、人の幸せ、健康、美、生きるエネルギーになるのだと思います。
私は、日本ホリスティック医学協会認定のホリスティック塾インストラクターもしているのですが、ホリスティックな考えを突き詰めていくと、どうしてもここに行きついてしまうのです。
これからも、それを基本に生きて行こうと思います。
あけましておめでとうございます。
2018 年の始めにあたり、セラピストの役割について改めて考えてみたいです。
健康はどうやったら維持できるのでしょうか?
病気にならないことが健康なのでしょうか?必ずしもそうではないと思います。
たとえば、日本の整体の草分け、野口整体では、風邪は病気というよりも、身体の調整をしていると考えます。身体に生じたゆがみが、なぜか風邪が治った後には無くなっているのです。
身体を冷やしたり、不摂生をすれば、身体にゆがみが生じるので、不摂生をしたり身体を冷やすと風邪をひく、と普通は考えられてしまうのかもしれません。
身体には常に、治ろうとする自己調整能力があるので、ゆがみがひどくなってくると、自然にその調整をするために風邪をひくのだと考えれば、むやみに薬を飲んだりして熱を下げたりすることは、その調整を途中でやめさせてしまうことになり、身体のゆがみが残ったままになり、身体の調子が悪くなっていくのだそうです。
身体がゆがむことは、神経伝達、血流、リンパの流れなどが妨げられ、いたるところの臓器や組織が衰えていくことにつながるのです。
私たちセラピストは、身体に本来備わった「治る力、自分で調整をする力」を最大限に引き出すことを目指すべきでしょう。自分で調整する力とは、どこかの筋肉がこわばってきたら、無意識に伸びをしたりする反射のことです。
また、筋肉のこわばりは身体の関節の微妙な動きを止めてしまいますので、内臓にまで影響を与えてしまいます。身体の筋肉がこわばってきたら、猫や犬のように、自然に伸びが出るような状態が人の本来の姿です。
治る力、自分で調整する力を引き出すのに一番良い方法は「心身を緩める」ということです。
生まれたての赤ちゃんのような状態に身体をリセットしてあげることです。
リラックスという言葉は「re = 再びlax= 緩む」という二つの部分からできた言葉ですので、人のもともとの状態、すなわち、緩んだ状態に身体が戻るのをトリートメントや精油の力でお手伝いす
るだけであとは身体が自分で調整をしてくれます。
リラックスした状態に一度戻してあげることで、次にこわばりが出てきたときに、それを違和感として感じることができ、自然に自分で調整できるようになります。
そして、風邪も、自然の身体の調整だと思って、薬で抑え込まないことです(高齢者や身体の弱っている方は別です)。
この一年、皆様が自分にとって必要なことが実現できる年になりますように。
のんびりしたり、まったりすることも時には必要です。
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