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2023March10
「緩和ケア病棟でのアロマケアに見る家族の絆」阪田先生
皆さま、こんにちは。
3月のブログ担当の阪田です。聞き飽きた出だしですが、コロナ感染症が流行して3年が経ちました。
私の生活も少なからず、この影響を受けて良い方向に転じたこともあれば
今まで継続していたことがストップしたこともあります。アロマセラピストとしてソレイユで活動することは
私のライフスタイルの中に馴染んでいるものですが、
その活動の中のひとつに緩和ケア病棟でのアロマトリートメントがあります。
この活動は、今回のコロナの影響を受けてストップせざるを得なくなったものです。心身に不調を抱えられた方へのアロマテラピーは、香りやタッチ、精油の薬理作用や
セラピストとのコミュニケーションなど多様性のあるケアによって
心のサポートや様々な身体の症状を軽減できる素晴らしい自然療法であることを
実感していますが、ことさら緩和ケアの領域におけるアロマテラピーでは
科学的に説明がつかないような良好な反応がみられることがめずらしくありません。そして、時には患者様ご本人だけでなく、アロマテラピーはご家族・家族関係にも
助けになることがあります。ここ最近、緩和ケア病棟で出会った男の子のことをよく思い出します。
定期的に訪問していた緩和ケア病棟でのある日の出来事です。その日伺ったうちのひとつのご予約は、患者様のご家族の方へのアロマトリートメント
でした。
患者さまはご主人さまで、トリートメントをご希望だったのは奥さま。
部屋に伺うと、ご主人さまは意識がない状態でした。その横に奥さまはいらっしゃり
ご主人さまのベッドサイドにマットレスを敷いて一緒に過ごされているようでした。まだお若く、30代半ば~後半くらいに見える方でしたが
とても憔悴されて、か細くて消え入りそうなご様子でした。
何度かアロマトリートメントも受けられているようで、私もその姿を見た時に
サポートが必要だと感じました。香りを選ばれ、背中のトリートメントをし始めた時に、元気な男の子が
病室に入ってきて興味深く周りを行ったり来たりし、トリートメントを見ながら、
「アロマやってるんですか?」と声をかけられました
息子さんだとわかり、「そう。今日の香りはどう?好き?」と聞くと
「うん。好き。」と答え、
「僕もアロマしたいんですけど、、でも僕の手はガサガサで荒れてるから
マッサージできませんか?」とはきはきした口調で、私の目の前に
自分の手を出して見せてくれました。とても小さく見えたので、小学校1年生くらいかと
思いましたが、とても大人びた口調でしたし、マッサージをする立場として
自分の手荒れを気にしているなんてマインドも随分大人だなと驚きました。「手が荒れていてもちゃんとお肌を大事にしたらできるよ。こんなオイルを
いつも使ったらすべすべになるから大丈夫」と言うと、とても嬉しそうな顔。
さらに「お母さんにやってあげる?」というと
「うん」と言って手にオイルを塗り広げ「お母さん、やってあげるわ。こう?こう?」と
一生懸命お母さんの肩や背中をマッサージし始めました。お母さんは「イタイイタイ」と言いながら、泣き笑いのような表情に。
お父さん、ひと時そっちのけの時間になってしまってごめんなさいm(ーー)m
でしたが、男の子のお母さんを心配する気持ちがとても良く伝わってきました。それと同時に、ああ、これからはお父さんのバトンを受け取って彼がお母さんを
守っていく立場になるんだな・・と深く納得のいくような気持ちにもなりました。親子でアロマトリートメントをしている和やかなひと時の場で
お父さんもきっと安心しておられるように感じる光景でした。あれから、5年くらいは経ったでしょうか。
おそらく彼は小学校の高学年くらいになっているかと思います。父親の病気と緩和ケアで過ごした経験は、当時のまだ幼い彼にとっていろんな思いや
体験をした忘れがたいものになっていると思いますが、その中にアロマトリートメントを
介した母親とのふれ合いのひと時も、彼の成長にとって良い想い出として残っていることを
願っています。今もアロマセラピストになりたい!と思ってくれていたら
すごくうれしいですが、どうでしょう・・・(笑)
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