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2020April06
講師ブログ「香りの感じ方の違いと『成分』の関係」松尾 薫先生
皆さん、こんにちは。
講師の松尾です。春の穏やかないい気候になりましたね。
ただ、残念ながら家にいることが増えたという方も多いと思います。
私自身も今までとは違った時間の過ごし方をし、
その中で改めて感じることも多い今日この頃です。さて、今回はそんな中でいつも私たちの身近にある香り(精油)について、
お時間があればぜひ一度見直していただけるとよいなと思い
香りの感じ方の違いと「成分」の関係について書いてみました。アロマセラピーを学ばれた方ならご存じと思いますが、
香りは目には見えませんが
様々な成分が組み合わさって一つの香りを作っています。この化学成分を学ぶのは苦手という方も多いのですが、
実際に香りの違いを感じてから成分を見てみると
実はもっと理解しやすいのではないかと思っています。今回の例は国産の精油。
同じ植物から採れても、海外のもの、また土地の違いで
大きく香りが異なるものもたくさんあります。こちらはビターオレンジ(橙)のお花。
花びらにぷつぷつしたものがありますが、
ここに香りが詰まっています。
これらを蒸留して香りを取り出したのが “ネロリ(Neroli)”の精油。
こちらは昨年、一昨年と伺った
長崎のYAMABE KAJUENさん。(https://base.yamabe-kajuen.net/)
自らの有機JAS認証果樹園で育て採れたものでオーガニック商品も作られています。
(ご興味ある方はぜひ、国産精油を使った素敵な商品の数々試してみてくださいね。)
畑に近づくに連れていい香りが漂ってきて、
摘み取りをしている時間は至福の時間でした。
ネロリの花の摘み取り&蒸留をネロリ畑で。
精油が採れるまでの量ではなかったですが、
蒸留したてのフローラルウォーターをいただきました!そんな中で感じたのは、いい意味で「ちょっと香りが違う??」。
ネロリの精油はもともと好きでしたが、
こちらで嗅いだネロリのほうがさらに私の好みに合いました。そして・・・
詳しく成分分析をされたということでデータを見せていただき納得!!通常ネロリの主要成分は
・リナロール(アルコール類)約30~50%
・リモネン(テルペン類) 約9~18%
・酢酸リナリル(エステル類) 約3~15%YAMABE KAJUENさんの国産ネロリは
・リナロール 約77%
・リモネン 約5%
・酢酸リナリル 約8%リモネンはほとんどの柑橘系の主成分でイメージしやすいと思います。
リナロールはフローラル&フルーティで優しい甘さを感じるものです。
リナロールはラベンダーをはじめとする多くの精油に含まれますし、
和製ローズウッドと言われる国産精油のクロモジの主成分でもあります。この二つの成分の割合が大きく違うんですよね。
どおりで、同じ植物でも香りが微妙に異なるはずです。
もちろん主成分が同じでも他の微量成分との組み合わせによって
大きく香りは変わります。例えば国産(鹿児島県)の“芳樟”。
クスノキ科の植物で調べたところ
私たちがよく知っているものとしては
ホーリーフ(Cinnamomum camphora CT linalol)芳樟の主要成分は(鹿児島開門山麓香料園さんより)
・リナロール 86%
・カンファー 0.9%
・リモネン 0.5%リナロールがたくさん入っていますが
どちらかというとすっきりした香り。
カンファーがスパイス的な働きをしているイメージ。私はカンファー単独ではあまり好きではありませんが、
スパイス的に入っているととても好みに合います。日本の土壌、気候ではリナロールが多くなる傾向があるのかな?
だから日本人にはフルーティな香りを好む方が多いのかな?
などと思ったりもしました。どうですか?
ここまで聞くと
「リナロールってどんな働きがあるの?」と知りたくなりませんか?
ここでご自身で調べてみると・・・
とっても記憶に残りやすいと思うのです。
ちなみに代表的なものは鎮静、抗不安作用。
今のご時世、ある意味とても役立つものかもしれません。また、私が「成分」で好きなものがオキシデ類の1.8シネオール。
初めて嗅ぐ精油も、「いい香り!」と思うものにはこれが含まれてることが多く、
私の鼻(嗅覚)は1.8シネオールを特に敏感に嗅ぎ分けることが
できるのではないかと思っています!!
国産精油ではニオイコブシに多く含まれています。よろしければみなさんも、
机上で化学成分を難しく考えすぎず、
実物の香りのちょっとした違いや、
自分が好き(または苦手)と思う香りの共通性などの点から
少し成分を調べてみてはいかがでしょうか?きっと今までより違う楽しみ方が生まれたり、
また理解も深まりやすいのではないかと思います。最後に、
私が今嗅いでみたい香りは、
先日TVで紹介されていたベルガモットの葉の精油。
通常の果皮から採れる精油より、
酢酸リナリルがかなり多く含まれているそうです。ちなみに、私の眠りをサポートしてくれるのは、
有名なラベンダーではなくベルガモットです。
(主要成分は、リモネン、酢酸リナリル、リナロール)
ベルガモットには他の柑橘系と違い、
ラベンダーと共通の成分が含まれているんです。ご自身が心地よいと感じる香りは、
きっと様々な場面でその人の心身をサポートしてくれると思います。ご自身が心地よいと感じる・・・
その訳を「成分」という観点から見てみるのも
また新しい発見に繋がるかもしれません。
私もこれからまた新しい香りに出会えるのが楽しみです。いろいろと心も落ち着かない日々ですが、
香りの力が少しでもみなさまの何かのサポートになることを、
そして少しでも楽しみながら学べる機会となることを
心から願っています。
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